酷暑克服の決定版、遂に明るみに出る!/ 流出経路不明

Title : ヒョーガ

 

 

今年の酷暑に対応すべく、既に数多くの対策グッズが百貨店等の特設会場で陳列されているが、遂に本日午前2時、雑貨小物販売のエキスパート『シムカ』(仮名)の地下物置奥ボイラー室裏にて、酷暑対策の決定版ともいえる室温氷河期変換再現ボット・ヒョーガ2018が販売開始となった。

シムカはこのボット製品に一切広告をかけておらず、何故この製品の販売日を消費者が知ったのか首を傾げている。「本当に思い当たらないんですよ。当社は可能な限りヒョーガの販売を極秘に水面下で行ったわけで、考えられるのは社員によるリークということになりますが、ウチは父である社長と母である副社長、そして専務である私の3名だけなわけですから、それはありません」

こちらが、ヒョーガを組み立てた工場側からのリークではないかと質問してみたが、「ヒョーガは自分で自分を組み立てるロボット。工場では制作しておりません」と明快な返答が返ってきた。

「今回のヒョーガ250台の配布、その中の1台が自らリークしたとは考えられませんか。ヒョーガの自意識についてはどの様な仕様になっているのでしょうか」

「非常に自我は強いと思います。1台などは自分を組み立てている最中、電話で全身のアルミニウムをチタンに変えたいと何処かに問合せをしていましたから。私が何気なく今の電話は何処にかけていたのか尋ねると、蕎麦屋にざるそばを注文しただけだ、とこうです。とんでもないロボットを作ってしまいました」

さて、気になるのは室温低下機能だが、室温が30度を超えた時点でヒョーガがカウチ昼寝から目覚め、暑苦しさを緩和しようとボディに装着した瞬間凍結弾をエアコンや扇風機に向かって投げつけるとのこと。

「凍結弾が破裂しますと、中から凍結蒸気が流れ始めます。破裂させた時点で室温30度は一気に氷点下3度にまで下がります。夏用の軽装をして室内に留まる事は大変危険ですので、弾破裂の瞬間を見計らって全室の窓を開け放ち、いったん外に出て下さい。約5分で室温は27度にまで回復しているはずです。この気温は約3年間持続しますので省エネという観点からもエアコンや扇風機より30~72パーセント電気代お得です」

「凍結弾だけ購入し自分で投げればロボットは必要ない気もしますが」

「人間が素手で凍結弾を握ると皮膚が壊死してしまいます。軍手でも着用していれば話は別ですが、軍手を入手すると言うのは今の時代かなり無理が有ると思いますよ。それにカラになった凍結弾は見た目もオシャレですので、庭先の鉢植え代わりに使用すれば近所で評判になること請け合いです」

聴けば聞く程信じられない夢のロボットだが、エネルギー源は?。

「サラダオイルかコーン油200ccが月々の目安。ロボットがねだる時に与えて下さい。ラッパ飲みは出来ませんのでので専用ストローが必須となります」

 

◆氷河期変換再現ボット ヒョーガ

価格 2,430,000,000〈本体外装価格のみ。税抜き〉

内部システム全機材は別途2380円。23区のみヒョーガ本体が徒歩で訪問に向かいます。自宅の所在地は、購入時あらかじめインスタントカメラで撮影したものをロボットにお渡しください。また、ヒョーガの視力は人間の0.1程度ですので専用近眼用メガネVS66を着用をお薦め致します。VS66はダンボールと牛乳瓶の底部分などで比較的簡単に制作できますので、購入時に必ず制作したものをご持参下さい。設計図は当社裏手左階段設置壁面のボードをご覧ください」

全長3メートル 重さ2トン〈注:ロボットが天井につかえる様でしたら手話で屈むよう教え込んでください。毎日指導すれば半月ほどでITが記憶し自分でかがむようになります。要は根気です〉