年明けカウントダウン / ときめきはシャンパンの泡のように

Title : 「年明けのカウントダウンしろって、オレ1ケタしか数字知らないんだけど」

 

 

ここ数日は気温もやや上昇、そのせいか息を潜めていたカネタタキの鳴き声を再び…。やはり除夜の鐘を打ち鳴らす為の練習なのか。

 

年が明ける直前のカウントダウン。誰しも顔が輝き、その瞬間を心待ちにする。数える声は臨場感に弾み、頬は紅潮もする。

1から12の1サイクルが終わり、再び同じ数字の繰り返しに戻る、ただそれだけのことに世界中の人々が蜂の巣をつついた様な大騒ぎをするのは一体何故なのか。

大騒ぎの規模からして、蜂の巣の種は大スズメバチであることは明白。アレは恐ろしい。多種の小型スズメバチでさえ狩るし、軒下の巣はまだいい、目視出来るのだから。始末に負えないのは草むらに隠れた土の下の巣だ。うっかり踏んずけでもしたら、と思うと失神しそうであるが、そんな度合いの新年カウントダウンなのである。

年が明けても問題は引き続き継続中、がほとんどなのに、人はリセットされたと譲らない。それは気分のことを言っているからだ。

何だ気分か、雰囲気か、と軽んじられても仕方のないことかもしれないが、実は重大な要素がそこには存在する。

自分たった一人ではなく、ほぼ世界中の人々が、全く同じ心の姿勢を保つ、という奇跡のような事実。

やり直したい。

自分だけではなく相手も同じ気持ちになる。しかも多くの人々が、

いい1年にしたい。

と前向きな心持になるという有り得ない状況。

 

しかしながら、残念なことに翌日には前向きな心のきらめきはシャンパンの泡のごとく消え去り、妙に間の抜けた、集中力のない時間を過ごし、アッと言う間に慌ただしき現実世界が幕を開けてしまう。

 

カウントダウンしている時の、あの一体感。世界中の人々の笑顔。それが永続しさえすれば世界中の難題は解決する。カウントダウンにはオリンピックやワールドカップの勝敗結果がないからだ。

 

世界一体感の永続…。人類はいまだその奇跡に辿り着けないでいる。