増殖する過剰防衛 / ひとつだけの物の見方 / 損する生き方

Title : ゴメンねダーリン

 

 

深刻な便秘で死ぬ可能性のある赤ン坊。我が子のおしりに鼻先を突っ込んで便を吸い出そうとする母親。医師のいない山村の片隅で住人達は危機を乗り越えた赤ん坊に歓喜の涙を流す。

男手一つで自分を育てた父親の収入源が便所掃除だという理由で、すれちがいざまに偶然触れてしまった父親の衣服のおぞましさに、触れた自身のヒジの肉をナイフで削いでしまう息子。

新築マンションに越してきた当日、台所でゴキブリの姿を見て翌日賃貸契約を解約した独身女性。

雨あがり、片手に持った傘の先を後ろに大きく振りながら後方の通行者を威嚇し続ける人。

自分はどうなってもいいからと身を投げ出す人と、他人などどうでもいいから、とにかく自分と考える人。

いついかなる場合でも、いついかなる場面でも、とにかく自分、とにかく自分だけ。という考えの人は、必ず自分自身に復讐されるという、誠に損な役回りを選んだ人だ。

彼女が帰宅して台所に入る数秒前に、タッチの差でゴキブリが排気口の中に消えていた場合、彼女にとっての真実は、ここは清潔な新築マンションであって、ゴキブリなど存在しえない、というもの。 “増殖する過剰防衛 / ひとつだけの物の見方 / 損する生き方” の続きを読む