家政婦だけではなくネコも見ていた / 人をいやさないネコ / パチンコ丸シロー

Title : Japan カモノナカ配給 『実写版・パチンコ丸シロー』場面より

「いつになったら自由に温泉行けるのか」

 

 

顔を全面マッ暗、パピーが夜中の1時に帰宅。夕方6時に就寝し、今起きたばかりのオバアチャンと台所で遭遇。

「あれまぁ、ハルオ、どしたのぉ~そんなに落ち込んだ顔してぇ~」

「うん…会社でチョット…。こんな時は酒の力でも借りないと眠れそうもないよ。……おばあちゃん、冷蔵庫からビール出してくれる?」

「ノンアルコールの缶ビールでもいいよね?」

「アア…いいよ」

ヤケになっているだけあり、息つくヒマもなくノンアルの缶を次々に飲み干してゆくパピー乙女座の男35才、1児の父。

「何か…気持ち分かるような気がするねぇ~。アタシだって時々思うよ、失うものなんて何一つ持ってないんだからサ、このままポックリもいいのかね~、なぁんてサ…」

言い終えると同時、キッチンテェブルの下で日課の毛玉を吐き、それをお隣の女子大生キミちゃんから貰ったジュェリー・ケースにディスプレイしていた飼い猫のパチンコ丸シローが怒りの声を上げた。

「失うものが何一つないだと?したらば、いつもワタシの老眼鏡がないと大騒ぎしてるアレはどうなるバアチャン。アレは失ってしもうたのか。ア?、ア?」

「まだ置きちょったのかシロー。老眼鏡はなくしとらんよ(笑)」

「なら言い直さんといけんだろうが!。ワタシには失うものが何一つあります、だろうが!。日頃から嘘はいけんと、あれほど言ってるのは嘘か!。アア?!」

「そうか、そうか、分かった(笑)。…アタシには失うものなんて何ひとつあるんだから、このまま…」

「入れ歯は失くしたんか、バアチャン」

「え?。テーブルの下で物言うと、よく聞こえないよシロー、上がっといで」

しかし、シローは大きさ順に毛玉をジュエリーケース指輪入れに配置している最中であり、なおもテーブルの下からイラッとした大声。

「入れ歯も、ないとメシが食えんと半狂乱になっとるでないか!。したらば失ったらイカンのは老眼鏡と入れ歯で、さっきのは何二つと言い直さんと !!。早く言わんかッ!この二枚舌がッ!!」

「もう~仕方ないねぇ~(笑)。……アタシには何二つしか…、ええ?……ア、何ふたつ、でいいのか…。何二つ失うものがない。これでいいかなシロー」

「何だと、これでいいかなだと?、一体どこまでネコにいやされてりゃ気が済むんだって話か?!、吐いた毛玉がふさがらないとか何んとかいうんは、コーユーことだ、ふざけるのも体外にしやがれ!!」

激怒するパチンコ丸シローに、あたかも火に油を浴びせかける様にパピー、

「シロー。体外じゃなくて大概の間違いだよ。ネコだからって漢字を間違えていいわけじゃないなぁ~アッハハハハ」

「何だとキサマッ、オレはマンガの世界でフキダシで喋ってんのか?!、ア?、何でそんなこと気づくんだ、このいまいましいノンアル気分野郎がッ!!」

「シロー、パピーはお酒が入ってるんだから大目にみてやんなさいよ(笑)、オトナゲないねえ」

「何抜かしゃーがるッ!。大人毛たくさんあるのと違うかオレは!全身毛むくじゃらと違うとるんか、ア?。何なんだよこの家。こんなうちに飼われとるんかオレは、情けないッ!! (激しく舌打ち)」

 

2時間経過

 

「はよ言い直さんと、バアチャン」とプレミアム猫缶の在庫チェックしながらシロー。

「はいはい。ええと…、アタシには失うものは43228…しかないんだから」

「それ、幸せなことと違うんかバアチャン」と振り返りながらシロー。その両目には真珠のように光り輝く涙が…。それを見たパピー、

「何だこのネコ」