絶食ダイエット (19) / 浪人生の絶食ダイエット / 判断力の欠如

Title : 体内の異変

 

 

 

絶食ダイエット2週間目。

起床と同時にあたふたと洗顔歯磨き、迷わず台所でコーヒー。

ゆらありと現れる母、「勉強してんのアンタ」と恨めしや。

「今日から始動します」と素っ気なくボク。

いえいえ嘘ではないのです。いい加減に勉強始めないと不安で仕方がなく、その重圧たるや子泣き爺に捕まった旅人に等しく…。

溜まりに溜まったラジオ講座の英語授業を聴きながらモクモクと受験勉強に励む姿はドーヨ。

しかし時折、目がかすむ。アレ、何だこの曇り。コンタクト無き両目をゴシゴシ。

何とか回復するも、これまでにない現象。

ソレが何度か起きたものの、気が付けば5時間ノンストップで勉学特急!。

やったネ、この調子でイケば楽勝合格かもーと立ち上がった瞬間、あたかもテニスプレイヤーがサーブ打とうと大きく振りかぶった時のように大きく部屋が斜めに回転、ボクは冗談のように畳の上に勢い込んでブッ倒れェ~!!。

何だコレ。

何だ今の。

全身に底なしの疲労感が湧き上がり始める。そしてソレは止まらない。

何だか…。理屈抜きにマズイかもしれない…。

これ以上の絶食は…。

目覚める。畳の上で眠っていたようだ。

小雨が降っているが気分転換にムリムリ外出することに。行くアテもなく歩き出すが、カフェでお茶がいいかもねと繁華街の喫茶店へ。

雨の匂い立ち込めるアーケード、行き交う異性をチラ見してしまうお年頃。カノジョにするならドノコがいいか、恋人ならばアノコがいいか。手前勝手な空想しているうち、すれ違う女性と目が合ってしまった。

慌てて伏目、狭い階段上がって喫茶店。

ウゥ~ン…。やっぱりサー、もうちょっとだけ痩せた方が恋人ゲットの確率上がるんじゃないのぉ~?。どうしよっかなぁー ”。

しかし、さっきのメマイが気にかかる。頑張ったからってブッ倒れるのはあり得ない。

恐いからヤッパ絶食は止めにしよーと久しぶりにメニューのランチに目を落とす。エビピラフにカニピラフか。

ん?。キノコピラフ…。う~ん、いいねえ。

「お決まりですか」の声に

「アイスコーヒーとキノコピラフ」

おおおお~。つッ、遂に、食べ物を頼んでしまったじゃないのよー!!。

2週間近く何にも食べてなかったから、さぞかし旨いは必須。

ここで食べたことないけど普通の味だってイジョーに美味しく感じてしまうに違いない。

「お待たせしました」

見ればシメジと卵がしっとり息づくライトブラウンな良いピラフ。

「ミルクはお使いですか」の声に顔を上げ

「使います」

何気に視界に入った彼女の顔にハッと息飲む素浪人。可愛い綺麗美しいトビ色の目が涼し気カノジョにしたいデートしたい映画観たい一緒にどうですか来週ヒマありますかETCetc。

急に絶食ダイエット再開が決定する。誘うまでにカッコよくなってなきゃなんないジャンけ。

アレ、彼女ドコ?。

ああ、アソコかあ…。

結局、ピラフは一口も食べることなくレジに。

けげん顔なオバサンに多少緊張しながらの支払い。

合格しなきゃデートなんて夢のまた夢。分かってるってば。

 

つまりは14日目も完全絶食。夜11時、恒例の運命儀式!。測定ッ!。

54。  54キログラム。

2週間目で体重16キログラム減!!。