ネコならエッセイ6 / パチンコ丸シロー / 愛称で呼んで

Title : ネコが見る世界

 

 

Title : パチンコ丸シロー

 

 

「“ いつも心に太陽を ” なんて昔はよく言ったもんだけどサー」と、玉突家のオバアチャンであるところのダイナマイト・オミヤ(本名)。

 

「はっはっは!。それが今では “ いつもバッグにスマホを ” ですからねー。時代は変わりましたよねー、ダイナマイト・オミヤさん」

と、渡る世間は鬼ばかりだと思っていたのに、最近家族で渓谷遊びに行き、途中、山道を横切る沢蟹(サワガニ)の大群に遭遇して以来、渡る世間はカニばかり、と人生観を180度転換してしまったご近所の主婦万田千恵(41才)。

 

「何ですか万田さんたら水臭い(笑)。ダイナマイトなんて堅苦しい。親しみを込めてマイト・オミヤと呼んでくださいな(笑)」

「あら!。いいんですか、そんな(笑)。でもホントそーですね。フライドチキンだってライド・チキンて呼ぶ方が、揚げたてのチキンがバイクにまたがってるイメージがありますし、タピオカだってカピパラって呼ぶ方が、なんだか温泉気分になりますもんね(爆)」

「あなたの言ってること、アタシ、年なんでついていてけないワー。シロー、アンタ分かるぅ~?」

オミヤの声を無視し、彼女の足元で毛づくろいをしているシローの右手首を顔からグイッと引き離すオミヤ。

「何しやがる!!、このクソいまいましいオハギ3つも頬張る食い意地張った爆発娘は今いずこ野郎がッ!。毛づくろいの邪魔すると承知しねぇぞ!」

「まあまあ、マイト・オミヤさん。たかがネコなんですから(笑)」とオミヤを制す千恵。

「何だ?。キサマ今なんて言った!。たかがネコだと?、だったら、アシナガバチを足長オジサンて呼ぶのか?。ハ?!。そんなこと言ったら足長オバサンはどこって話になったら…………どうなるんだろうか…」真夏の夕立直前のように、みるみるシローの表情に陰りが出始める。

急に無口になったシローを見下ろしてオミヤ、超上から目線で

「ア、考えてるわ、今。フフフフ…足長オバサンは今どこなのかってね……」