劣化するコトワザ / 古きを捨て新しきを使う

Title : お皿の真ん中で愛をうたう⇒皿に乗せたピザを食べ終えると歌いたい気分になる、という意のコトワザ

 

 

「最近、日本人はあまりコトワザを使わなくなりましたね。皆さんは何故だと思いますか?」と小学校教諭の干柿。「花見君。なぜ?」

「時代遅れだからです。今の時代にマッチしないのが多いからです」

「ほお?。例に出して言ってみて下さい。皆に分かるように」

「ええッとお。………。例えば、“ 果報は寝て待て ” 。待てる余裕がないとは言わないけど、待ってるよかググるかして自力で何とかする方が手っ取り早いです。号外より早く情報取ってたって、こないだジーチャン言ってました。“  急がば回れ ” も同じ様なもんです。回ってたら列の一番最後になってると思います。皆、情報ゲットがメチャクチャに早いと思います。」

「なるほど。大変良い意見でした。他のヒトはどう思いますか?。宵待(よいまち)さん。何か思いつきましたか?」

「はい。思いつきました。…、“ 千里の道も一歩から ” は分かるけどインターネットがあるので、いきなり1000歩到達があると思います。千里の道を逆戻り、ならかろうじてOKとは思います。“ 石の上にも3年 ” は意味不明です。同じ石に3年も乗ってたら浦島太郎になってしまいます。ワタシなんか1週間くらいで他の良さそうな石に飛び移ると思います」

「ううむむ…。宵待さんみたいに、すぐ他の石に飛び移るというヒトは居ますか?。同じだと思うヒト、手を上げてみて下さい」

25人、1人を除き生徒全員が挙手。

「芝目君は手を挙げませんでした。3年辛抱出来るということ?」

「違う。ボクお腹弱いから。すぐそばの石でも飛び移れないと思う」

「他のヒト、何かコトワザで思いつくことはありますか?。太鼓君」

「逆に、“ 石の下にも永遠 ” に変えるなら皆使う(コトワザを)と思います。ウチは石屋なので、父ちゃんがいつもそういってるんです」

「先生!。ボクも言っていいですか」「はい、真夏君」

「“ 犬も歩けば棒に当たる ”は、動物虐待を助長するので禁止用語にした方がいいと思います。どうせ使うんなら “ 犬も歩けば棒に振る ” が合ってると思います」

「棒に振る?。犬が棒に当たって致命傷を負い一生を棒に振るから散歩は気を抜かないように、という人間にではなく犬自体に対してのコトワザということですか?」

「そうだと思います。ネコの手も借りたい、もダメです。虐待が恐いので今時(いまどき)のネコは手なんか出さないと思います。大事に飼われてるネコはコッチが頼まなくても率先して手を出して手伝ってくれると思います。皆に当てはまらないケース・バイ・ケースはコトワザにしちゃダメだと思います」

「なるほど、先生とっても良く分かりました。皆、注意深く自分の国のコトワザについて日頃から考えているんですね。感心しました」

「感心しなくていいですから、何とかして下さい」

「何をですか、味見君」

「 “ 三歩(正しくは三尺)さがって師の影を踏まず ” は危ないです。真に受けて後ろにさがった時、後ろが道路だったら車にひかれる可能性があると思います。先生のために生徒が犠牲になるのはおかしいと思います」

「そうですね。確かにコトワザというものは時代が変わると使えなくなるものも出てきますね。先生、コトワザのテストを考えてましたが取りやめにします」

「いい教訓になったあ?」と味見。「そーね。とっても」