看護師500人派遣要請 / 地域医療に悪影響を与えるのは大会組織委員会 / 人災五輪

Title : 魚眼レンズの訪問者

 

 

心ある人々の 心持ちとは真逆、

晴れ渡る 気持ちの良い 初夏のある日、

突然、チャイムが鳴った。

 

人と対面したくない 決意の私。

おそるおそる 魚眼レンズを覗くと、

見知らぬ白衣の女性が

こちらを覗き込み、

感染者がいないかどうか 心配そうな面持ち。

沈黙の2021秒。

 

 

再び、チャイムが鳴る。

 

息を殺し、全身を硬直させる私。

 

「すいません。 要請を受けて 上京した者ですが…」

 

か細く弱々しい その声は

僅かに残った 最後の気力を

この場で 使い果たすつもりの 声だった

 

それを確実に 感じ取っていながら、

私はドアを開く 勇気もなく、

居留守を使い続けた。

 

 

「誰だった?」と、いぶかしそうに家人。

「ええと……。何か…赤十字のマークの人だった…」

「あはは、バカだなあ。

赤十字じゃなくて、

お墓の十字架だろ、ソレ」