日本人的ブルースとは/ 演歌はブルースか

Title : 「ブル~スしか歌えんばってん、オレはトナカイ、鹿ではなかとよ」

 

 

何故か日本には曲名に~ブルースと銘打った歌ジャンルが存在する。誰が考えたものやら。誰が仕掛けたものやら。

アメリカの黒人音楽、しかも哀歌を、日本人の悲恋ソングと同等に位置づけるそのセンスは実に大胆かつ面白い試みだと思う。

皮肉を言っているのではなく、双方に流れる悲しみや苦しみの深さが何ら変わらない、と言っているところが興味深いと感心することしきりなのである。しかしながら…。

 

♪ 伊勢佐木町ブルース ♪  には絶望的な悲しみなど存在しない。むしろ成就した、成就しそうな恋愛を楽しんでいる女主人公が居るばかり。

4分の4拍子でさえあればブルースだ、などと強引なことを言う人はまず居ないわけだし、青江三奈の歌声には明らかな悦びの熱情が窺い知れる。

つまり、この歌はブルースという恨み節や苦痛に耐えるための霊歌の要素などとはおよそかけ離れたところに位置しているのである。

それなのにボク達日本人は、この伊勢佐木町をテーマとした楽曲が紛れもなくブルースである、と自然に受け入れてしまうことが出来る。これまた不思議な感覚、現象ではないだろうか。この歌がブルースなのはおかしいと言った人を聞いたことがない。

 

♪ 受験生ブルース ♪ (高石ともや)しかり。受験生の大変さは人生の大いなる苦しみという程のスケールではない。それゆえこの歌はコミカルな調子で歌われている。

つまりはアメリカのブルースとは真逆、縁もゆかりもない楽曲と言える。だがしかしタマゲ上げることに、この歌もまた、ブルースという名前が良く似合う。このシックリ感は、恐らくボクら日本人に共通した何かなのだろう。ウムウム、これはブルースだな、なあるほど、と途方もなく納得してしまえるのは一体何故なんだろうか。

推測なのだが、ブルースという単語の響きが、本来この単語が持つ意味と相反する全く違う何らかのイメージを、日本人にかなりビシバシと連想させてしまっているのではないだろうか。

フォースと共にあらんことを、と同じく日本人にとっては、

“ ブルースと共にあらんことを ”

とまで言い切ってしまえる程の何か。その正体は一体なんだろうか。

 

♪ 中の島ブルース ♪ (アローナイツ / クールファイブ)もまた絶望ソングではない。打ちひしがれた男と女が小さな希望の灯によりそう、明日を信じる事が出来そうなニュアンスが行間に流れている。

もしこの曲名からブルースという言葉を取り去ったなら、代わりにどんな単語を持ってくればシックリするだろうか。

中の島。中の島物語。中の島の2人。中の島慕情。……慕情?。

慕情の線は悪くはない。恋い慕う、の意味なのだから少なくとも場外ホームランで彼方へ飛んだブルースという単語よりはグッと近い。

伊勢佐木町慕情でいいし、中の島慕情、でいい。歌詞の意味合いからすれば、間違いなくブルースよりは慕情の方が間違ってはいない。

だがしかし、何故かどうしてか、慕情ではダメだ。

大半の日本人的が慕情という言葉から連想するのは、パッとしない、覇気がない、ジミ。そんな驚愕すべき感覚があぶり出されてくる。

本来の慕情という言葉の意味、恋い慕う、といったトキメキ感、震える情熱、などの感覚は、この慕情という発音からは一切感じ取ることが出来ない。

ああ何故何故ナゼでしゅかー!。日本人は慕情という言葉に何ら恋愛成就の匂いを感じ取ることが出来ないでいる!。未だに!。じゃ、ブルースに戻す?。

伊勢佐木町ブルース。中の島ブルース。

これだ、これだ、これだあああ!。やはりこれしかない!。歌詞の内容にそぐわない単語であるにも関わらず、依然としてヤッパリこれでなければ辛抱ならない!。

♪ 柳ケ瀬ブルース ♪ (美川憲一)は恨み節の典型、全く持ってブルースである。和製ブルースの決定版である。歌詞の内容も間違いようもなくブルースである。

♪ 昭和ブルース ♪ (天地茂)しかり。しかし、恨み節の方が日本だなと。

柳ケ瀬恨み節。昭和恨み節。

ヒェェェ~ッ!、ダメだぁ~!。これでは全くもってナンセンスである。歌詞の意味合いからすると、ブルースより恨み節の方が日本人特有の感覚を満たしているにもかかわらず、やはりブルースでなければシックリこない。丸ごと納得出来ない。

ブルースという言葉の響きには、何かこう、粋な響きがある。本来の意味合いとは全く関係なく、日本人にはブルースという言葉の響きが粋でイナセに聞こえてしまう。ヤボの逆、今風の匂い、時としてスタイリッシュでさえある。

 

となれば原田真二のポップ調、♪ てぃーんず ぶるーす ♪ 命名もひどく納得出来ちゃうもんだねえ!。

つまりは、結婚の喜びを綴った歌詞のタイトルにブルースという単語を入れたとしても日本人的には在有り、という強引な力技の結論が出来上がってしまいました。

白チャペルのブルース、花嫁に贈る父からのブルース、ウウム、合う。そら恐ろしい程、合う。しっくりくる。とんでもなくバッチリではないか。あまりの収まり様にほぼ意識を失いそうになるほど似合う。

悦びや悲しみ、そういう内容の歌タイトルに、~カンツォーネだとか~オペラ、だとか、~シャンソンと付くものはほとんど無い。

~ロック、~ブギ、~タンゴは多い。

すなわち、日本人はゴロ合わせの曲名、響きのよい曲名を大層好む趣向を持ち合わせているのだという事がつくづく分かってしまった。

~追分、もゴロがいいし、~恋歌、もイイ感じ。

日本語には、つまずきやすい漢字が多い。つまり言いにくい言葉、流れない単語や語句が沢山ある。誘われる、はいいが、誘われる(いざなわれる)だと流れない。引っかかる。

歌は流れるようであって欲しい。そう日本人は無意識に感じている。

加えて日本人は言葉の持つ響きから、本来その言葉の意味と全く違う印象を持ち得ることに何らためらいがない民族ではないだろうか。

アメリカ人の言うブルースと、日本人の言うブルースとは明らかに意味合いが違う。

今やブルースは日本語。不思議な魔法の言葉なのだ。

 

涙は汗 / 涙は失恋 / 涙は卒業式 / 涙は緊急事態宣言

Title : 押し寄せてくる、到着まであと3秒!

 

大人になるにつれ泣かなくなってゆくのです。みんな強い子になるのです。心とウラハラ、それがチョホッピリ淋しくって、泣ける話を欲しがるのですネ。人は自分にない物をオネダリするもの、それがサガ。ウムゥ…そうなのです。

 

涙は心の汗だ たっぷり流してみようよ

二度と戻らない 今日のために

〈いずみたくシンガーズ / 帰らざる日のために〉

 

と青春真ッただ中の若者達に呼びかけるのは、とっても自然で納得感アリ。とはいえ逆もまた真なり、お漬物シンナリ。発散を推奨、我慢も推奨、それが世の中ってものなのですネ。

 

まぶた はらす涙は こぼしちゃいけない

こらえきれぬ時には まつげに溜めよう

〈森田健作 / さらば涙と言おう〉

 

 

ああ ひと粒の涙で ふと気づいたの

何となく違うの 昨日の私と

〈シモンズ / ひと粒の涙〉

 

ふとこぼれた一粒の涙に驚く乙女。悲しいわけでもないのに何故。目に映るものが全て美しく、何となく輝いてワタシを誘うの、と主人公はつぶやくのです。これが恋を知ったことだと。恋すると誰でもこうなるのかな、と。この感覚は女性特有のものなのでしょう?。男には絶対ありません。ないはず…。

 

 

卒業式で泣かないと 冷たい人と言われそう

でももっと哀しい瞬間に 

涙はとって おきたいの

〈斉藤由貴 / 卒業〉

 

なるほど、涙ひとつとっても人の考え方、捉え方、対処の仕方って違うものなんだなァと感慨深いものありです。私は強くありたい、という乙女の卒業に際しての決意表明なのでしょうネ。

 

涙くん さよなら さようなら 涙くん

また逢う日まで

きみはぼくの友だちだ この世は悲しいことだらけ

きみなしではとても 生きていけそうもない

〈坂本九 / 涙くんさよなら〉

 

涙を友達だと思っている。人生の伴侶だと。だけどぼくは恋をした、素晴らしい恋なんだ、だからしばらくはキミと逢わずに暮らせるだろう、と語る主人公。

こんな風に涙を客観的にとらえて考えるたりするのは男の方でしょうネ。女性は論理より感情に忠実な傾向ありますもんネ。 “涙は汗 / 涙は失恋 / 涙は卒業式 / 涙は緊急事態宣言” の続きを読む

嗚呼!桜前線!/ 駆け抜けていった聖女子 /松田聖子の時代

Title : 「奥さん、カワウソ・ヤフトの宅配でッス。ふるさとNO税の巨大一粒胚芽米、どこ置きマショッ」(魚眼レンズから見えた図)

何かこう、ワタクシ、ここのところ春に関する記事内容が多いですけど、まぁ皆様も春待ち焦がれでしょうから許してもらえそうでしょうか。

福山雅治さんの大感謝祭に対抗し、春の大カンシャク玉破裂祭というのは如何なものかと。

中国ではお正月に爆竹破裂させてお祝いしてるからカンシャク玉もその系列で代用ってことっス。

かつて松田聖子さんはチェリーブラッサムの中で次のことを指摘されておられました。皆様もメモをおとりになった経験、おありになるかもしれませんね?。

何もかも目覚めてく新しい私、なんだと。あのイントロ、見事でした。楽器構成、アレンジの妙!。

確かにこれから開幕するのだ、桜ばかりか何もかもが目覚め、一切が始まるのだという胸騒ぎの期待感は見事でした。

胸騒ぎの躍動感としてはチェリーブラッサムもステキですが、やはり日本人的には桜前線、ヤッパこれでしょうかねぇぇ!。ウゥフームームー、やはりそう来ましたか、みたいな!。

ワタクシ、恥を忍んで打ち明けますと、実は個人的にチェリーブラッサムという言葉を聞くと、必ずペットショップで販売されておりますオポッサムがサクランボを食べているところを連想してしまったりするのでございます…。

チェリーオポッサム……。

昔昔のヒットソングですが、今尚色褪せることを許してはくれないフランスの楽曲でフランシーヌの場合、という実際の事件をモチーフにしたものがございましたね?。3月30日の日曜日の朝、パリで焼身自殺したフランシーヌを悼んで作られた歌なのでございましょう?。

何となく事件の詳細を知らないままでいたい気がして未だに検索はしておりません。知らないまま、ボンヤリとしたイメージに浸ったまま聴いていたい、などと思ってみたりするのでございます…。日本語歌詞におけるフランシーヌさんの情報としては、

ホントのことを言ったら おりこうになれない

ホントのことを言ったら あまりにも淋しい

ということぐらいしか入手出来ないのでございます。恐らく、この記事を読み関心を抱かれたお方が勇気を振り絞り検索をかけ、コトの真相をつまびらかになさるのかもしれませんね?。

皆でその可能性に賭けようじゃありませんか…。

ともあれ、松田さんの春風ヴォイスで告げられた期待感、桜前線。全ての日本人の瞳がその前線の行方を見守るのです。

不安と期待を気まぐれ春風に乗せ、遠方にまで届く様にと思いを託すのでありましょうね?。

半面、桜にまつわる悲恋物語も沢山ございますねぇぇぇ…。そうそう、松田さんに負けず劣らずの歌姫であるところの岩崎宏美さんは楽曲の中でこう訴えておられたじゃあありませんか!。

桜の花はもう六分咲き、見上げることなくアナタは急ぐ、と。

彼女のお父さんに結婚の許しを貰いに行き、まだ早いと一喝されカレシは傷ついたのでしたね?。

彼女は家を出ると彼に誠意を見せるのでしたね?。怒っているでしょう?、許して下さい、と…。聴いているコチラもムゥムゥと震えるっス。

春おぼろ、夜桜だったのであります。

期待感、そして散りゆく別れ、物語が終わる悲しみと再生の約束。

嗚呼!、桜前線!。

因みに、梅雨前線ヤダ。

帰っておいでよ

Title : 広い荒野にポツンといるよで

 

 

プラタナスの枯葉舞う 冬の道で

プラタナスの散る音に 振り返る

帰っておいでよと 振り返っても

そこにはただ 風が吹いているだけ

 

人は誰も恋をした 切なさに

人は誰も耐え切れず 振り返る

 

◇ 風〈北山修 / 作詞、端田宣彦 / 作曲〉端田宣彦とシューベルツ

三好鉄生と西田敏行のバトン・リレー / モシタラ

Title : 「てか、もし~だったらって此処で空想してんのが好きくね?。オレってマジ出無精、てかシャイだし…」

 

 

もしも あの日 あなたに 逢わなければ

この私はどんな 女の子になっていたでしょう

 

と麻丘めぐみに歌われちゃう ♪ 芽生え。

もしもの話なんだネ。愛しの彼と出逢ってなかったら、今頃私ったら街から街、行く当てもなく泪で歩いてたり、悪い遊び覚えちゃったり、ひっそり暮らしてたり、更には、神の裁きなんかも受けちゃったりしたんじゃないかって想像してるんだね。

アア!彼と出逢えて本当に良かった良かった!。麻丘めぐみ危機一髪、的な。

 

 

涙をふいて 抱きしめ合えたら

あの日のおまえに 戻れるはず

 

涙をふいて 抱きしめ合えたら

どこかで明日が 待ってるはず

 

などと仮の話をみなぎる力で歌い上げる三好鉄生の歌声を、目を閉じアグラ座りで自分を抱き締め、かすかに前後に揺れながら聴いていると、

アアほんとにそうだ。鉄は熱いうちに打て。それで鉄生…。なるほどなぁって。

こちらも、たらはずの話なのよ。もし~だったら、~のはず。仮想シュミレーションってホントに大事。特に血液型Aの人ってそうらしいじゃない?。

 

 

もしもピアノが 弾けたなら

思いの全てを 歌にして

きみに伝える ことだろう

 

と西田敏行。三好鉄生の楽曲 涙をふいて と結論的に違う点は、

涙をふいて、では仮の話が実践されたかどうか不明のまま歌が終わっちゃうのに対し、もしもピアノが弾けたなら、では、

 

だけど ぼくにはピアノがない

君に聴かせる 腕もない

 

と、アラマー、空想をやめ現実に立ち返っての独白があるんだね。つまり、仮の話はあくまで空想、願望なんだと。リアルにビシバシと結論付けちゃうんだね。

ハァククッ!。

 

麻丘さんのは、今だから話せる、アア良かったワなお話。過去を仮定で振り返る、ある意味ヨユーよね。でも、自分の運命を定期的に振り返り、想いを新たにするって大事。だから日記をつけましょーって話なの?。

 

涙をふいて、はリスナーにバトンを渡して、アナタは実際問題として、コレ実行に移しちゃう?って聞いている。勇気あるの?って。

もしもピアノが、の方はバトンを渡さずオレ駄目だった、と独り完結させちゃってるけど、実はリスナーによってバトンを引き継いでいたりするんじゃない?。

いやいや待て待て、今からオレはピアノ教室に行くぜ、みたいな。

 

もし~だったら。

 

ふふふ深いッ!。山芋を掘り出す時に必ずや感じるであろう感覚にも似てッ!。

 

 

近頃少し、地球の男女に飽きたところヨ

Title : 頭の中がテラバイト級妄想星人

 

 

その昔、若者達に熱ッつき情熱がないじゃないのヨ!プンプンとオジサマ達が嘆きつつ若者をシラケ世代と呼んだとかッ。その代表格として、もてはやされたのがショーケンや桃井かおりだったそーな!。

それから数年ごとに若者は新人類だとか宇宙人呼ばわりされたのネ。つまり自分達とは何もかも根本的に違う異星人なんだッ。とね。

 

それでもいいわ 近頃すこし

地球の男に 飽きたところよ 

ハァウッ!

 

などとピンクレディーのUFO大ヒット。みんな宇宙人感覚が身近だったわけだから!。

それが今じゃどーよ。ハン?。大人から子供まで年代別に宇宙人ッ、同世代でさえ異星人ッ!。

地球上 隣は 何する異星人

なハァ~んチってゲラゲラ。そしたらッスねー、今時は若者同士が憧れる異性人異星人はでヤンスよ、超美形てことなんスね。へ?、意味不明?。ンな人は下の歌詞をどホぞッ。

 

ウツツぬかした美少年 この世の人と思えない

青い眼差し 冷たいね  燃える心も凍らせる

空の涙ね 流星は 銀河をすべる片思い

〈Wダブル・ユー / センチ・メタル・ボーイ〉

 

センチメンタルではなくセンチメタルというのが今風なんだけど、実はバブル華やかなりし頃の歌のリメイクなのよネ。当時はキララとウララが歌ってたんだけれどもが、アーアーけれどもがー、ちょっと時代の先端行ってて皆ついてこれなかったのかナハン?。

スっかスですネー、よくよく考えてみれば織姫彦星もコレっしょ?。コレっスねー。美形異星人的むかし話。

アタシはセンチタメルの方っス。50円玉だの100円玉だのが1センチの高さになるとちょっと高めのスナック菓子を買いに走る。

どーよ。超微軽なボクったら~ん。

別れた後あなたは……

Title : 行き止まりトンネル奥で思案中の大道芸人

後悔先に立たずと言フ。確かにそホであるとつくづく思フ。かつてザ・ピーナッツは大阪の女といフ名曲の歌詞中で次のように歌い上げて見せたのである。

もっと尽くせば よかったわ

我がまま言って 困らせず

泣いて別れる 人ならば

と…。この歌はボクのカラオケ指定曲でもあるファけで、

シンミリ感ひとしおジンジン、ジヒィ~ン、といったところか…。

誰でも常にあらゆる事柄で後悔しまくるわけで、

今度こそは悔し涙に暮れないよフにと

気持ちを新たにするものの、いつの間にやら…。

どうしてどうして 

出来るだけ やさしくしなかったのだろう

二度と会えなくなるなら

と悲痛な面持ちで歌われる松任谷由実のリフレインが叫んでる

主人公はスケジュールの合間、時間を見つけては、

かつて彼とドライブした想い出の場所に車を走らせる。

ひとつ前のカーブまで引き返してみよう…

あの駐車場に彼も来ている気がする…。

はかない夢、胸張り裂ける願望。

ありもしない幻だと知っている筈なのに。

今日も夕映えになってしまった。

諦めて帰らなければならない時間だと。

時の経過。

誰もが後悔に、未練に、折り合いをつけなければならない。

その時を迎える。その時が来てしまう。

何故来るの?。どうして?。

前へ進めないから。

進めなければ心の崩壊が始まるから。

クールファイブ前川清は楽曲神戸の中で自虐的で確信的な歌詞を吐き捨てる。

誰かうまい嘘のつける 相手探すのよ

誰かと一緒でなければ生きてはいけない弱さ。

独りでは到底無理だ。でも二度とあの苦痛を味わいたくはなヒ。

最初から本気になれない相手となら、偽りの恋愛ならきっと大丈夫だと…。

追い詰められた果ての恋愛虚飾。

罪だろうか。

声上げて笑う癖も すぐに涙ぐむ癖も

みんな

あなたと知り合い 覚えたこと

気が向けば 電話して

グチでも こぼして

完全に相手との音信を絶たない。面会すらあるという女心。

これもまた自己崩壊を防ぐひとつの得策かもしれなハい…。

むなしさつのる自己救出法かも。でも、

少しの間なら

立ち直れる可能性を探る時間稼ぎにはなるかもしれなヒ。

南沙織は当初シングルレコードB面だった気が向けば電話して

何とかA面にしたくて仕方なかったのだといフ。

この曲のスタンスこそが彼女そのものなのかもしれなヒが…。

悲しみに出会うたび あの人を思い出す

こんな時そばに居て 肩を抱いて欲しいと

中村雅俊歌フところのふれあい

この主人公は次の相手など想定していないようだ。

想定していたなら過去に囚われたいスタンスなど持つはずがなヒ。

憎い仕打ちと 恨んでみても

もどっちゃ来ない あの人は

柳ケ瀬ブルース美川憲一

ほろり落とした涙でさえエメラルドになぞらえる様子は

夜の街に生きる人間をほうふつとさせる凄みを感じる。

別れ。それと等しく重い、

そのあと

心はいつも星屑の街

Title : 歌でオレの人生を振り返っている以上、このマイクはお前らには絶対に渡さん

 

 

あなたをほんとは 探してた

この世にいないと 思ってた

信じるこころを なくしていたが

けれどもあなたに 愛を見て

生まれてはじめて 気がついた

君こそ命 君こそ命 わが命

 

主人公は遂にその人と巡り合った。

けれども既に遅かったのだと言う。

どんなに愛しても貴女を傷つけるだけ、だから離れてゆくのだと。

つまり自分より相手の幸せを優先させたのネ。じゃぁ、本物だ……。

 

両手をまわして帰ろう 揺れながら

涙の中を たったひとりで

やさしかった 夢にはぐれず

まぶたを閉じて 帰ろう

まだ遠い 赤いともしび

〈三嘴美智也/ 星屑の街〉

 

大丈夫、大丈夫。皆そうなんだから。誰だってそうなんだから。

そうは見えないけどあのヒトだけは?。

そう。そういういい時があるから励みになるのホ。

順繰りだって絶対信じない?。そうそう、皆そう思ってる。

誰だってそフ。今アナタが言った、あの人だけは。

あの人もそう思ってたんだよ。

順繰りなんて自分にだけは、ないって。

 

間違ったことさえしていなければ。

信じるのをやめることなんてないのホ。

そうは言っても心は折れる。

きれいごとよりも、

考えるのは何もない白い紙のこと。

 

夜と朝の間に ひとりの私

天使の歌を聞いている 死人のように

夜と朝の間に ひとりの私

指を折っては繰り返す 数はつきない

遠くこだまを 聞いている

鎖につながれた むく犬よ

お前も静かに眠れ お前も静かに眠れ

〈ピーター / 夜と朝の間に〉

 

 

あなたをほんとは探してた。この世にいないと思ってた。

 

 

黄昏を ひとり歩くきみの

横顔がとても 好きだった

別れても 私は信じたい

いつの日か あなたに愛される愛の奇跡

〈ヒデとロザンナ / 愛の奇跡〉

 

 

懐かしさの聴き比べ / 松田聖子 & 松任谷由実 & 八神純子

Title : 「そんなに昭和が懐かしいなら箱の中に両手を入れて昭和か平成か二枚のうちどっちかを引き当てて見ろッ」「分かったよ。やるよ。ちょっと待ってて」

肌寒い、暑い、を

日替わりサンドイッチ、サンドバッグではないですかああ…。

疲労フラフラ、そホだ、こんな時は

ポークジンジャーだなどとジャージューしてモグモグ、

ハゥゥ、旨ヒ…。そして寝転がり天井をぼわぁ~と見ているとフイに

度の人達も、昭和は良かった、昭和が懐かしいと言フなぁぁあぁ…、

とバンヤリ思っていると

眠気を乗せたカボチャの馬車が土煙を上げ全速力でコチラに向かってくる

のが見へた。まずい…。寝てハならなヒッ、そうだ音楽を聴こフッ。

懐かしい痛みだわ 

ずっと前に 忘れていた

でも あなたを見た時

時間だけが 後戻りしたの

失った夢だけが 美しく見えるのは

何故かしら

過ぎ去った 優しさも今は

甘い記憶 SWEET MEMORIES

〈松田聖子 / SWEET MEMORIES〉

懐かしいあの人に 人ごみの中で会った

微笑む顔が 少しはにかむの

昔のままだわ

傷ついた恋なのに もう跡形もないのよ

偶然 会えたら 泣き出しちゃうと

思っていたのに

〈松任谷由実 / GOOD・LUCK & GOOD・BYE〉

そおかあ~。昭和を懐かしがる人達も

SWEET・MEMORIES、

GOOD・LUCK&GOOD・BYE、

なんだあ~。うむうむ…。なッ、泣けるッ!。ヒャァァァーッ !!。

やさしく 時は流れ過ぎて

ひとり 振り返る

今でも あなたの微笑みを

感じることが あるのよ

思い出は 美しすぎて それは悲しい程に

もう二度と 手の届かない

あなた 遠い人

〈八神純子 / 思い出は美しすぎて〉

女性は男性の微笑んだ顔を思い出すことが多いのかな。

懐かしさと言えば、悲しい顔、ではなくて笑顔だもんね。

懐かしさ、のってフトコロって読むじゃない?。

相手の懐に飛び込む、とかって…。

フトコロの深い恋人と別れたら、懐かしさも深いはずですヨ、

きっと…。

桑田佳祐のバラード / 真夏の果実

Title : 若葉の中、いつまでも若く

 

 

大抵の楽曲って、男が主役か女が主役か、割とハッキリしてますヨね。

男言葉とか女言葉でなくっても、歌詞の内容で簡単に分かっちゃったりネ。

サザンオールスターズの真夏の果実って、その点では稀な楽曲ですヨ。

男、女どちらが主人公だか分からない。

というか、きっとどちらでもあるってコンセプトなのかもネ。

加えて、何かどこかしら中性的な主人公だなって雰囲気も。

 

 

泣きたい気持ちは 言葉に出来ない

今夜も冷たい 雨が降る

 

こらえきれなくて ため息ばかり

今もこの胸に 夏はめぐる

 

こんな夜は 涙見せずに

また会えると 言ってほしい

 

 

主語のない歌詞。具体的な物語も一切描かれていない

ということはドラマの要素がないってことですよネ。

だから誰もが主人公を自分に置き換えることが可能。

物語性のある楽曲って多いでしょ。

とても具体的だから?リスナーの心に入りやすいですもんネ。

ということは真夏の果実の場合、

漠然と主人公が自分の想いだけ、気持ちだけを描写しているだけなので、

具体性が薄らいでしまう。

はず。普通なら。大抵。

胸に迫る、心を射抜く説得力がこの歌にはありますヨ。

もの凄く具体的な説得力です。

良い楽曲が加工されたダイヤの工芸宝飾品なら、

この歌はダイヤの原石に当たるのかもしれません。

 

真夏果実という二つの言葉を並べると

夏のアバンチュール的な要素を連想してしまいますヨね。

実際そういう内容の歌も多いですヨ。

もしかしたら、この主人公もそんな感覚や心持ちで

恋愛ゲームを始めたのかもしれませんヨね。

アバンチュールだからといって、割り切った遊びだからといって、

そんな遊びには切なさ、いとおしさ、狂おしい思いなどは無縁。

そう思い込んでいただけで、本当はそうじゃないのだとしたら?。

途中から相手に夢中になった、真剣になった、本気になったってお話、

よく聞きますヨね

。お遊びじゃなくって真剣で真面目な交際に切り替えたいんだって。 “桑田佳祐のバラード / 真夏の果実” の続きを読む