Title : 脳内・非常事態・警告・発令・の図
絶食ダイエット12日目。
ほとんど眠れず一夜を明かす。
朝7時過ぎ、トイレに行こうと部屋を出頭ら(でがしら)、登校する弟とハチ合わせ。ヤツは慌ただしく靴履きながら
「兄貴。さっきオフクロがねー、眠ってる兄貴の顔見たら死人みたいな顔だったって言ってたよ」
鼻先で閉じられるドアをしばし見つめ立ち尽くす亡霊兄。
奇遇だ。実は昨夜か未明か分からないのだが、ボクは三途の川の渡し船発着所で整理券を受け取っている夢を見た。
「アナタがエンマ様ですか」
「突拍子もない。大王がこのように現世に近い場所までお出で(おいで)になるはずもあるまいに。タワケ」
その者の顔は暗くて全く見えない。
明かりが灯っているのに何故だろうと、ボクは自分のパジャマを見下ろし仰天。
紐に吊り下げられた洗濯物の様に、パジャマの下に中身なし!!。
明らかに今、ボクがこうして身に着けているというのに!!。
これは大変な事になった、のっぴきならない状況だぞと青くなり、顔なし男に
「ボク、引き返して帰ります。そこの道を戻ればいいんですか」
「ダイエットに戻るのか。死にに帰るのか。もう此処にいるんだからリフレインするのも面倒じゃない?。マ、どっちみち此処に戻るんだから別にいいけ…
目が覚める。
普通ならゾッとする反応が通常かもしれないけど、そこは美しい10代。
さして深く考えることもなくヒトコト、
「変な夢」
即忘却の彼方。
しかしながらだ。母の言葉を重ね合わせると流石に心に暗雲立ちこめる。これは予告だろうか、暗示だろうか、啓示(神の声)なんだろうか。
やや青ざめながらフト気が付くと体重計に乗っている。シマッタ!、計測は1日の終わり、すなわち今夜11時過ぎなのに!!、と舌打ちしつつ目を落とす。
58キログラム。
頭空白。真っ白。
その瞬間、ボクの周囲の全てが静止した。