Shape of You / ED SHEERAN / 剥き出しの心 / 時代の素顔

Title : 一卵性双生児 登場間近

 

 

祖国イギリスで圧倒的な支持を得た ♪ シェイプ・オブ・ユー ♪ 引っ下げたエド・シーランは、2018年グラミー賞においても最優秀ポップ・ヴォーカル・アルバム賞に輝いた。

ラヴソングだが、♪ お前の体に恋しちまったぜ

という歌詞は時代のバイブレーションをダイレクトに感じ素晴らしい作品の一語に尽きる。

腹が減り、食い放題の店に彼女と出かけてゆき、皿ごとたいらげる勢いで食べ、なおかつバッグにもお持ち帰りの食い物を詰め込む。

思えば、永らく続いたアナログ時代、人々は未だ名前さえ知らぬITという時代に恋い焦がれ、無数のSF作品を制作し続けた。

IT全盛目前を控える今、人々はMUSICそのものに人間臭い剥き出しの欲望をぶつける。

半導体に振り回される世界に生き、その恩恵を享受する。心は、感情は、アナログ時代ほど多くのカテゴリーに分類出来なくなった。微妙な感情は大きな感情である喜怒哀楽の裏に埋没してしまう。

電子世界から解放されたい自身のスピリッツは音楽に身を委ねる時、反動であるかのようにワイルドでストレートな欲望に包まれる。

心を解き放つジャズのセッション、心の嘆きを歌うブルース、反戦歌としてのフォーク、フォークロック、ヘヴィーメタル、やがて自分自身をインフォメーションし裏路地の壁の落書きを詳細に歌うラップ、それらを踏み越え、それらのどれとも違う、そんな何かが生まれた。

 

大らかに心の欲望を歌える国。それを素直に支持し熱狂出来る国こそ羨ましい。ブルーノ・マーズに代表されるように、歌詞表現こそは本当に自由であるべきなのだ。

日本で ♪ お前の体に恋している などという歌詞の歌が発表されたなら、まず絶対にドンビキとなり無視される。一部の人間がエロくていいなどと茶化すのが関の山。まずTVの歌番組からは完全にシャットアウトされる。

何故って、日本に於いてこのような歌詞は、女性達から間違いなく変質者扱いされ、世間からはいかがわしき不良分子のレッテルを貼られる。時代の変遷など気づきもしない。

イギリスやアメリカでこの歌に激怒する女性もいると思うが、そんなことでグラミーは自由表現をシャットアウトなどしない。

 

この違いは何か。アメリカと日本の違いは何か。

歌とは何かを知っている国と、全く知らない国の違いだ。