Title : 梅種
最近放映されている果実酒のTV・CMに私は激しく感動した。
若い女性が若い男性とテーブルをはさんで差し向かい、彼女は片手のワイングラスに梅入りの酒を満たしている。そして彼に向かって、最高に幸せだと感じる時はいつか、などと尋ねる。彼が思案顔になったところでカメラが切り替わる。
おッ、驚いたことに彼女のワイングラスに沈んでいた梅はなくなっており、見れば彼女が梅を持ち彼の口元に差し出しているではないか。
テーブル上には何もない。とッ、ということは、つまり、
彼女は、好きな彼の前でワイングラスに指を突っ込んで梅を取り出した、ということだろうか。
更に、彼女が持つ梅は全く濡れてはおらず、完全に表面の酒はぬぐい取られている様に見える。
ということは、彼女は取り出した濡れ梅を何かで拭いたことになる。舐めた場合は梅も濡れているわけだから、持参のハンカチか何かで拭いたことになる。
彼女は彼に向かって、私は今最高に幸せ気分であると伝えながら、指でグラスから梅を抜き上げ、それをハンカチで拭き、彼の口の前にさしだしたというのか。
何と言うイマジネイシオンを掻き立てるCMだろう!。一部始終を見ていた彼の思いは計り知れない。
綺麗ごとのロマンチックなCMにせず、このような肉食系女子VS氏草食系男子のガチを、さりげなく演出して行間を読めと視聴者に挑戦状を叩きつける…。
みッ、見事だ。