サヨリストより黒鯛

 

 

 

ここ2~3年前から、ボクの釣り座でも突然サヨリが釣れるようになりました。サヨリなど全く縁がないと思っていただけに相当ビックリです。近年のシリヤケイカブームといい、やはりこれも異常気象だとか海の環境の劇的変化が原因でしょうか。喜んでばかりはいられませんね。

釣り上げたサヨリを調べてみると、センニンサヨリが正式名称ということでした。写真で見ていた口先の赤色長楊枝、固いかどうか1度触ってみたかった!と試してみるに固くもなく柔らかくもなく…。

堤防から1~2メートル辺りの水面にサヨリの群れが見えている状態はいささか戸惑いましたよ。姿が見えている魚は絶対に釣れない、がボクの経験値でしたから。信じられないほど小さくて細い鍼(ハリ)なんですねえ、サヨリ仕掛けのソレは。鍼に解凍アミブロック(プランクトンのエビをレンガ状に圧縮したもの)のエビを4~5匹付けるのですが、エビがフニャフニャで付けにくいこと甚だし!。イライラする程です。

「これじゃソッと海面に落としただけでハリから取れてしまうんじゃないですかね」と隣で高見の見物決め込むオジイチャンにボヤいてみせたところ「大丈夫だようー。エビが取れたってハリに1~2匹残ってれば釣れるようー」と余裕の笑み。この方は去年この場所で大きなサヨリをツヌケ(2ケタ)爆釣したとのこと。ベテランが言うからには、とポチャッ。たちまちサヨリの群れが右往左往、次の瞬間、軽くククククッと引き有り!。

サッと竿を上げるとピチピチ躍動しながらサヨリが上がってきました。手早く外してバケツにポチョン。人生初、サヨリストになっちゃいそうだなと興奮気味で第2投。再び群れが右往左往。でも空振り。次も空振り。なんてこったい、エサ付いてんのかね全く!。

そんなこんなで20分。群れは夕刻5時寸前で沖へと移動。タイミングよく何処かのスピーカーから  ♪  夕焼け小焼けで日が暮れて~、のインストゥルメンタル。「オチョくられとるんじゃな~い?」と愉快そうに笑うオジイチャン。手許に25センチほどのサヨリが3尾だけ残りました。「サヨリは数釣り出来るって聞いてたんですけどねえ~」「出来るよ」「ボクがヘタなんですかね」「そういうことになるかネ」。

ガックリ。普段使い慣れていない奇妙な仕掛けに翻弄されたのだ、と仕掛けのせいにしつつ通常仕掛けにチェンジ。堤防の岸壁スレスレに仕掛けのエサをソロリソロリ落とし、ゆっくり上げたり下げたりを延々1時間。そろそろ日没、夕マズメ(夕方マズメ。魚が比較的エサを積極的に食べる時間)。だなあ、とぼんやり、しようものならガツーン!!。突如激しいアタリに仰天!!。来たか本命メジナちゃんーッ!!、と竿握り直せば強烈な引き。アレ?! 、メジナにしては強烈な…。ハリス(糸)が切れそうな予感でチョット心配、竿先を降ろし気味にして糸を少し送り出す。何か、潜ろう潜ろうとしてんだねキミは、と相手が引けばこちらは巻く手を停止、大人しくなれば様子を見ながらジリジリと巻く、を繰り返すこと約10分。ギブアップで浮上してきた魚体を覗き込めば「アアラ懐かし!!。黒鯛サンじゃござんせんかーッ!!」。サヨリ不調もブッ飛ぶ大物、意気消沈はどこへやら!。これだから釣りはやめられません。慎重にタモ網ですくって足元に。辺りはいつしか真っ暗でした。

 

 

●黒鯛46センチ。ハリス1.5号、チヌ3号鍼(ハリ)にイソメ(海ゴカイ)1本垂らしの吹き流し。鍼上1メートルにガン玉1B。サヨリは市販のサヨリ仕掛け。

 

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