Title :
さだまさし作詞作曲、追伸。
ボクは、さだまさしのファンではありません。山口百恵のファンでもありません。でももし、もし、この追伸という歌詞の中に深く秘められたものに対するボクの謎解きが正解なら、ボクのお二人への見方は180度違うものになります。日本人と韓国人との間に厳然と存在する不協和音、人はそのことにあまり触れないままやり過ごしてきた過去があります。ナイーブな問題だったからです。
今尚そうかもしれませんが。
なでしこの花が 咲きました
芙蓉 (ふよう) の花は 枯れたけど
あなたがとても 無口になった秋に
こわくて私 聞けませんでした
あなたの指の 白い包帯
上手に巻いて くれたのは
誰でしょう
風に頼んでも 無駄ですか
振り返るのは 嫌いですか
どこにもある様な ことですか
私 髪を切りました
なでしこの花、とは日本人女性を指す。
芙蓉の花、を象徴とした北朝鮮引き揚げの記録、という書物がある。
楽曲の中の恋人同士は日本人男性と朝鮮人女性。
彼は、彼女と交際していることを周囲の誰かにとがめられ、殴り合いのケンカになった。
その場に居合わせた日本人女性が包帯を巻いてくれたのだろう。
その日から彼はその人と交際を始める。
残された彼女は薄々察した。
どこにでもあるのでしょう?、こういう差別の話。お互いの国の過去を振り返って、理解し合って乗り越えることは出来ませんか。
神風が吹いてあなたが私の元へ帰って来てくれるようにお願いしても無駄ですか。
彼女は彼に借りた森鴎外 (もりおうがい) の本もまだ読み終えてはいないのに、と呟く。
恐らく鴎外の作品は舞姫だろう。生粋の日本純文学の代表作だ。かつて彼は彼女に日本を理解して欲しくてその書物を託したのかもしれない。
追伸が発表された当時 (1974年10月)、今ほど両国は近しい関係ではなかった。むしろ交友を深めることはタブーだったのだ。
ステージ上、この楽曲を堂々と伸びやかで力強く、さわやかに、祈りを込めるように歌う山口百恵の姿を見て、幼いボクの中で何かが弾けたのをよく覚えている。
ボクの解釈は間違っているだろうか。さださん、山口さん。