ネコならエッセイ13 / ネコが便秘になる時 / シローの一番長い夜

Title : 初秋のうたたね

( シローが出席している町内ネコ集会書記長、相沢カナ。メス3才 )

 

 

Title : パチンコ丸シロー

 

 

 

夜10時半。

妻の 野武子(のぶこ)が買って来た、グリーンキウイより20円も高く、

その代わり、グリーンキウイより酸味も少なく

非常に甘いはずのゴールデンキウイが、

有り得ないことに、グリーンキウイより酸味が強く、

甘みも弱かったことから、

大好物のゴールデンキウイをフタクチしか食べず、

傷心のマインドのままキッチンテーブルに突っ伏してしまったパピー

が、くぐもった声を上げた。

 

「そういや~ね……今日は仕事、目が回るよーな忙しさだったんだけどね……。

こんなに働いてんのに借金で常に首が回らないボクって、

ど~ゆ~感じなんだろ~ね~、お母さん」

 

「何言ってんだよぉ~、ハルオ~。昔から急がば回れっていうじゃないかぁ~。

てことはさぁ~、アンタ、

急いでいるけど首は回ってなくて、

急いでるからこそ、目だけ回ってる

ってことじゃないかぁぁ~。ねぇ~?、そうでしょぉ~?」

とハルオの母ダイナマイト・オミヤ。

 

「えっ…。それ…自分には全然同調してない感じですけど…。

お母さん、中島みゆきの時代は回るの引用かなんかですか?」

 

唐突にキッチンテーブルの下から、飼い猫のイマイマしげな声!。

 

「何、ワケ分からないことクドクド抜かして大満足なんだろうなあ、

この…ハシにもボーにもかからない、

ウナギつかみどり1時間1000円、そのくせ、

哀れでブザマにも手ぶら帰宅の残念野郎がッ!」

 

「アハッ!(笑)。ウナギじゃなかったんだよシロー。

あれ、アナゴだったんだよ。ね~?。ご時世だねぇ~。

ま、下にいないで上に上がってきなよ」

と仕事疲れ顔ながら、おだやかなパピー。

 

「ダメだよハルオ~。今シローはひどい便秘を何とか解消しよーと、

力んでる最中なんだから~」

 

「ええ~ッ?!」驚いてテーブル下をのぞきこむパピー。

 

「なッ!!、何覗き込んでやがる !!、この、変態を絵に描いたような

恥知らずの詠み人知らず万葉集野郎がッ!!、

帰れ帰れッ、ワーワーッ!!、

見世物じゃねえ!!、

( その瞬間、ふいに僅かな便意が襲い、おしりを浮かせた拍子に腰砕けの口調となり )

……で、いいのでしょうかね…。どうでしょう?(汗)…」と平静を装うシロー。

 

「でもサー、何で首が回らないって言うんかねぇ~。

何で借金だと首が回らなくなんだろ~か」とオミヤ。

 

「もう、いい加減にせんかバアチャン!…あっちこっちで借金した奴には、

四方八方に返済しなきゃいけん相手がおるだろうが!。

借金まだ返しとらんので相手と顔合わせられんだろ!ア?!、違うか!。

それで自分の顔を、首を、周囲に回せんゆうことと違うのかッ!」

テーブル下からシローのカンシャク玉爆発的な叫び。

 

「フゥゥゥン…。シローそれ本当なの?」と感心しきりのパピー。

 

「ハルオ…。便秘で唸ってるネコに解説されるよーじゃ、

お終いなんじゃなかろーかアタシたち的には……。だけど、

…何でお前またキッチンまでオトイレ持って降りてきてんだい?。

部屋ですればいいのに~」

 

「ピミー ( ハルオの息子、サマーオ。9才 ) が

砂金 ( トイレ箱の敷き砂 ) を手ですくって持ってこうとするから

持ち歩かんといかんよーになったんだろうが!。

ッたく誰の差し金だか、両手にすくった富が

サラサラ指の間からこぼれ落ちるって話だよッ!。

どこまでネコをアイドル扱いすりゃ気が済むんだよ!」

 

「おやおや、こっちにおはちが回るとはねえ(笑)、あっははははー」

とダイナマイト・オミヤ、キウイを口に放り込み、あまりの酸っぱさに顔をゆがめる。

 

「出てけッ!もう、みんな出てけッ!!。全然集中出来ないだろうが!、

この救いようのない月見団子待ちわび親子がッ!!」

 

今回の、シロー便秘苦悩大騒ぎパフォーマンスの真の狙いは、

猫缶を並から再びスーパープレミアムに戻すこと。

しかしシローには知る由もない。

玉突(たまつき)家の家計を掌握しているのは野武子 ( のぶこ )。

 

彼女抜きのパフォーマンスには何の意味もなかった。