絶食ダイエット(3) / 敵は生存本能にあり! / ダイエットの敵は脳みそ

Title : 暗闇の手探り!コウモリだけが知っている!

 

 

 

絶食初日、いともたやすく矢尽き刀折れたことが

逆にボクをムキにさせてしまった。ちょっとしたキッカケで

ティーンエイジャーは対象にのめりこんでしまうことが多い。

熱狂や興奮に最も純粋に反応する生き物とも言える。

 

プリンで言えばスが入っていない状態、ホットケーキで言えば

小麦粉のダマが一切検出されないということなのだ。

未熟な未成年が唯一大人に勝る武器、それが情熱という名の固執だ。

 

であれば、ボクの具体的な武器は何だ?。

自問の結果、こだわりの分析癖であろうかな、と…。

早速ボクは分析瞑想(めいそう)に入る。

 

何故、あれほどの固い決意がいともたやすく挫折したのか。

即答!、空腹に耐えられなかったから。

たとえ散歩に出かけなかったとしても、

自宅にこもったとしても同じことだっただろうと確信する。

 

空腹という名の生存本能。

ヒヨコのボクが生存本能に抗えるハズもなし。

ただちにコンビニに走ったは必然!。

 

ならば敵は生存本能に有り。そのお方はボクの体の何処にいらっしゃる?。

全身に伏兵が散らばっているのかもしれないが

恐らく総大将は脳に違いないのではなかろうかいッ。

昨日ボクにアンドーナツを買わせたのは脳の命令に違いない。

 

ならば脳を説得出来れば、納得させられれば、

ボクは絶食1週間を見事達成出来るということになる。

なにしろ生存本能の免罪符、通行手形を手に入れたのだから、

どんな関所もフリーパス!。

ああ、これだこれだ、この路線で行こう!。

 

アンポンタン浪人生の決意は固まった。

1週間だけ期間限定、リングに上がらぬボクサーになるのだ。

目的達成翌週から再び受験生に戻ればよい。

 

脳をどう説得するか。

“ 人の心を動かしたければ眼を見て話せ ”

という先人の教えがあるではないか。よぉぉぉ~し、分かった。

 

人間の眼は脳の一部。つまりボクの両目は、脳の両目でもあるのだ。

どっちでも同じだろ、と友人に言われそうだが、そうではない。

通常はそうだが、絶食したいボクのジャマをする脳は

明らかにボクの敵対者、他人という位置づけになる。

 

ゆえに、ボクは鏡で自分の眼を真っ向から見据え、

ガチ勝負でキッパリと宣言!。ノートに走り書きしたカンペをチラ見しながら

 

「ボクは今日から7日間、飲料水以外、

個体食料も液体食料も一切飲み食いしません。

いいですか?、分かりましたね?!」

 

と、念押しするかの様に、我が目をにらみ12回も唱えるように繰り返した。

10回もすると飽きてきたので、ちょっと歌舞伎口調になったりもしたが、

これできっと大丈夫。ボクの脳でボクのでない脳は、

とってもとっても分かってくれたはず!。

本日より絶食開始!!。ヒャッホホーッ!!

 

2日目、再び屈辱の挫折。夕飯を食べてしまったアーッ!!。

用心して外出さえ控えたのに、トイレに立つ途中、

食卓の白く艶っぽいソーメンを目撃してしまったのが敗因。

 

 

 

 

何故だあ!。

ボクと、誰だか知らないアカの他人の脳との契約は

一体どうなってしまったのか!!。

それとも契約などハナから有効化されていなかったのだろうか?!。

確定ボタンをクリックし忘れたの?、ねえ?!。

うううううむ…。別の手を早急に考えなければ…。

 

闇の中の手探りは続く。