絶食ダイエット(6) / 空腹を紛らわす方法 / 呼吸を止めてガマンして

Title : 空腹で注意力ばらばら

 

 

 

絶食ダイエット2日目。

 

朝食抜きは長年のルーティーンだし、さして昼食も特別な食の要求はなし。

こいつァー前日続きで調子がイイぞォ~、

と思っていたところへ衝撃の魔の刻。

 

台所から食欲そそる匂いがボクの自室に届いてきたわけでなし、

美味しい食べ物を思い描いていたわけでもない。

突然に、そのスイッチが入ったのだ!。

 

夜6時半、全身が震える程の空腹感。瞬時にして

 

“もうダメだ!。

絶食はおろかダイエットなんて

これっぽっちも無理だ不能だ不可能だ!! ”

と、観念してしまう程の凄まじい飢餓感!!。

 

机に向かいイスに座し、何とか魔の刻やり過ごそうと抗うボクだったが、

アリャリャ?、自分の意志とは無関係にスックと立ち上がってしまった。

まさしく本能の成せるワザ。

 

アア、これか。生存本能起動か。

時間が来て録画予約番組がスタートし

自動的にTVのスイッチが入るように、

それはあらかじめ約束されていたところの

“ 生存本能 / 食欲カテゴリの更新と実行 ” の自動インストゥール。

 

いや、ボクもコレを全く予期しなかったわけではない。

でもボクはティーンエイジャー。自分中心に物事を決めがち。

決めたい。だから、それは無いっしょ、で目をつぶった。

その反面で対応策はウッスラと用意。

受験生ならば滑り止めは用意するもの。

それを実践しよう。

 

脳ミソという主人。その御方にに大目玉をくらった食欲部門専任作業員は

ハタと我に返り、直ちに飢餓警報をボクの身体全機関に発令。

その音色は最優先事項を示す。

ウワワワォォォ~ン。

全血管中の赤血球や白血球、血小板が

 

「食わせろーッ」

 

と激怒で煮えたぎり始める。

全身の筋肉が張りつめ、その皮膚には畏怖の鳥肌総ウブ毛立ち。

胃袋は絶望的な面持ちでしゃがみこみ、肺はシャックリ寸前、

腸はひきつけ寸前、自分の意に反して何度も喉が鳴る。

いてもたってもいられなくなったボク、自室脱出!。

 

「ちょっと散歩ッ」

 

言い放つや食卓に背を向けスニーカーつっかけ外へ!。

無一文だから買い食い不可。

既に、全身が食べる行為への渇望に完全支配されている。

今、何かひとつでも自分の好物を脳裏に思い描いたが最後、

昨日今日のボクの企ては水泡に帰してしまう。

 

「満腹、満腹!、アーお腹一杯だぁー」

などと、うそぶいても無駄。

耳は脳ではない。眼!。眼は脳だから、コヤツらに何かを見せなければ!!。

きびすを返して自宅に戻り、また大学ノートに書くか?!。

イヤ、駄目だ駄目だ、それが通用しなかったから今こうなっている。

アレしかない!!。

ボクはヒトケのない路地に折れ、誰も居ないことを確認するや呼吸を止める。

 

10秒、20秒、30秒、40……く苦しい。が、まだ大丈夫50…、プッハァァーッ!!。

 

このプッハァァーッ!! の瞬間、路地に入ってきた人にバッチリ顔を見られた。

人生とは恐ろしい。

魔の悪いことの連続、誰かのイジワルとしか思えない。それが常。

などとマッコウ臭いことを口走りながら速足で表通りへ戻り、人影確認せず再び呼吸を止める。

止めながら両手のヒラを両目に見せる。

見せながら手相の生命線をゆっくりなぞる。

 

プウハハハーッ!!。

 

加減しながらやっているので当然生命の危険なし。

水泳教室での潜水練習と何ら変わらないわけだが、

これは一応、生存本能に関係した危険行為に該当するんでないの?

ええ?ボクのであって、赤の他人の脳ミソさんよおーッ。

 

何かにチャレンジする時、1回や2回では全く効果なし。

3回5回でも効果なし。

しかるに、突然9回目で成功した、なんて経験が時々ある。

玄関に入る直前だったと記憶している。10数回目の呼吸止め直後、

 

“ 生存本能 / 食欲、を生存本能呼吸正常化にカスタマイズしました ”

との脳メールを受信した感覚に襲われた。

 

「どこ行ってたの」と弟。

 

「不思議の国」とアンサー。

 

飢餓ボルテージはMAXから10度数へ。何とか切り抜けた。

 

絶食2日目クリア。

 

 

 

Title : とんかつ食べたい