海面を見てワクワク / 釣りの楽しみ / 魚と知恵比べ

Title:エメラルドのうねり

 

 

 

堤防の足元見下ろせば、釣り人が胸躍らせずにはいられない美しきエメラルドのウネリ(写真上)!。さぞかし釣れるだろう!とは早計かも。潮が澄み、しかも日中となれば魚さん達にはよく見えてしまう。

何が?。釣り人の影が!。海中に投じられた仕掛けが!。とりわけ鍼(ハリ)が!。そんなことには全く無頓着な魚種もいますが、ただ単に明るいというだけで暗いスポットに身を潜めてしまい、なかなか出てきてはくれません。

そんなわけで、魚がよく釣れるのは濁り潮だとか小雨、曇天、夕方、夜、日の出前。必ず釣れるわけではありませんが、明らかにチャンスは多いです。下の写真は波止ブロック(テトラ)を撮影したもので、満潮干潮時を問わず、ほぼ海中に没しているブロックと水上に出っ放しのブロックとに分かれています。

この様にランダムに積み上げられたブロック群こそ魚マンション!。複雑な潮の動き、豊富に取り込まれる酸素、太陽光を適度に遮断した癒しの環境、と、まさに最優良物件です。

この写真で最も注目すべきは “ 海の色 ”。汚く淀んだ印象はなく、それでいて澄み渡った感じでもない。透明度はそこそこある様な、ない様な…。

それに加えての曇天模様、こんな感じに見える海水状態が釣れる好条件です。勿論、いつでも、必ずというわけではありません。人影が見えなくても、仕掛けが見えなくても、しょっちゅう仲間が釣られて姿を消していれば、魚の方も気づいて釣り餌を食べなくなってしまいます。

これはあくまでボクの経験推察、違っているかもしれません。ですが、ボクに関してのみ言えば、絶対そうである、と。

調子よく毎回数種の仕掛けで必ず釣れていた特定の魚種が、ある日を境にパタッっと釣れなくなる。その魚が釣れるシーズンたけなわだというのに、です。

ボクは、きっと魚が学習したのだと思っています。当然であるとも考えています。魚にしてみれば、子孫を残せるかどうかの瀬戸際に立たされたのですから。

たかが魚と語るなかれ、DNAは決して侮れません。

 

 

日本に三波春夫あり / 長編歌謡浪曲の凄み

Title : ピザ欲しい現場

 

 

ロックファンならずとも、ひとたび聴いたなら余りの凄さに脱帽せざるを得ないロックオペラとも言うべきQUEENの名曲、

『ボヘミアン・ラプソディー』

神と悪魔のどちらの立ち位置に在るべきかで揺れ動く青年のエピソードを綴ったこの歌は、QUEENの地位を不動のものとし、そのずば抜けた才能を世界中に広く知らしめた。本国イギリスよりずっと早くQUEENを高く評価してのけた当時の日本人リスナー達は偉い!。

三波春夫の作詞作曲による『俵星玄蕃』(たわらぼしげんば) を始めて聴いた時にはブッ飛んだ。ボヘミアン・ラプソディーに勝るとも劣らないその壮絶さ。仇討ちか否か。やはり上(かみ)と悪魔のはざまで揺れ動く関係各位。

毎年大晦日恒例の忠臣蔵に併せて取り上げられることも多いので、聞き覚えのある諸兄も少なくないと思われるが、いかんせん9分弱と長い。よってTVでその一部始終を見聞視聴する機会は滅多にない。

この曲は全てを聴かなければ全く意味がない。聴き終えたならその意味がよぉ~くご理解いただけると確信する。浪曲など全く関心のないボクではあるが、これは楽曲のジャンルさえフッ飛ばしてしまっているほど凄い。日本人のDNAが騒ぎ、血沸き肉躍る。

 

ライバルである村田英雄の『王将』を聴いて発奮、三波春夫はこれを一気に書き上げたと言う。

お見事ッ!。ニッポンいちッ!。

札付き園児 / 幼児教育のススメ

生まれながらの自然界生物コレクター、それがボクの正体だった。幼稚園児の段階でソレは既に強く打ち出され、周囲の大人達は度々戦慄のルツボに叩き込まれる。ボクは赤札付きの園児。見切り品であり要注意児童。ボクを知る全ての大人はもとより同世代の者らまで、ことごとくボクの背中に赤札ピシリと張り付ける。

ボクはそれに気付かない。注意と関心の全てはソコにない。ソコ、とは日常が営まれる生活環境を指す。ボクのソレは皆と違う。自身の生息地は山中。或いは池、川、沼。山であればボクの姿はカブトムシ、池や沼ならフナかザリガニ。いつも泥にまみれた不潔な子。ズックの片方失くしたばかりか、裸足の足裏は沼底ガラス瓶のカケラで切れて血だらけ。この小僧に比べれば、足柄山の金太郎など洗練されたトレンディー・ベイブ。

幼稚園バス降りようとも園の門くぐらず。ムシケラは目の前の山道から緑の森へと消失する。ボクはウズラの親子が横切るのを見、飛び出した野ウサギが前足で両耳を撫でつける姿に小首をかしげる。そんな驚愕した興奮を誰かに話したくてたまらないものの、ケダモノに近いボクに言葉という名のアプリなし。ポケットの中にもズタ袋の中にも。カラッポだけがあった。いつも。常に。

大きな沼のほとりで数人のオジサン達が賑やかに立ち話をしている。傍らのドラム缶からは湯気が立ち上っている。彼らはカップ酒を飲みながら何かを旨そうに食べている。ボオーンヤリ眺めていると、気づいたオジサンの1人が笑いながら手招き。「オッ、坊主!コッチ来て食べるかい?」

大きな葉っぱに白い食べ物がテンコ盛り。真横に真っ赤なアメリカザリガニのおびただしい殻残骸。アアアアア、アメリカザリガニを剥いて食べているのか!!。アメリカザリガニは食べ物なのか!!。いつもボクが死に物狂いで追い回しているソレが、食べられるものだというのであろーか!!。ボクはジリジリと後ずさり、小石に足を取られながらも転ぶことなく走り去る。

これで何度目なのかと憤慨やるかたない近所の大人達。両親はペコペコとコメツキバッタの如く頭を下げ、共に懐中電灯携えて、神隠しにあったやもしれぬボクを探しに山に入る。これまでの経験で彼らはボクの生息地の幾つかを特定していた。ボクは大抵、山中入口付近に在る神社裏の樹間で捕獲され、自宅という名の独房に監禁される。ボクの命を守った大人達の存在は偉大極まりない。札付き児童にもそれは分かる。

でも、決してボクの話を聞こうとしない大人達に対し、ボクは不機嫌な犬の様な唸り声を上げる。今日ボクが目にした、孵化(ふか)したてのセミが幹から落ちアリの群れに襲われる光景、それを話したかった。ボクは緑色に光る白色のセミの体から必死でアリを払い落し、彼だか彼女だかを幹に留まらせようと試みるが、何度やってもそれはアリ待ち受ける大地へ転がり落ちてしまう。アリの猛攻に力尽きてしまったのだろう。ボクは半ベソかきながら、根っこから40センチほど上の幹穴にセミを隠し、その場にうずくまる。ボクは教えて欲しかった。

ボクはどうしたら良かったの?。

 

◆写真タイトル / 声

 

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園児の添い寝 / 夢見る季節

夏の遅い夕暮れ。空は薄墨色。石鹸のいい匂いをさせて浴衣にズックの幼稚園児が外に転がり出る。白地に青朝顔柄の浴衣が緑の竹林と重なった時、顔見知りのオバサンが「まあ、素敵な浴衣来てるわねー」。お喋り相手のオバサンも「綺麗よー」。

小学2年生のお兄ちゃん達が数人、空めがけて自分のクツをしきりに投げつけてる。落下したクツを速攻で覗き込んでは「チェッ!ダメだァッ!」。再び空めがけてクツをポーン。それを追ったたボクの目が奇妙な動きで飛び回っている生命体をとらえた。1、2、3、4……5……。小さなソレらを数えるボク。

「アッ!、入ってる入ってる!!」。1人の歓声に皆がワッっと集結、円陣組んで覗き込む。ボクもお兄ちゃん達の隙間から、何だ何だと一生懸命覗き込む。

お兄ちゃんに両足掴まれた生き物、両翼をパスパス振って飛翔に必死。ボクが生まれて初めて見たコウモリだった。小2の子供の手の平大。お兄ちゃんはパッとソレを空に解き放つ。瞬間、空が紫色に膨らみ電信柱の笠電球が切なげに灯る。同時に人影が失せた。ボクだけが、自分のズックの両方を何度も何度も空に向かって投げ続けている。かろうじて僅かな明度を保って広がる画用紙空。コウモリ達の交差するシルエットがおぼろげに確認出来る。「日没デス」と夕闇が園児に告げようと歩み寄った時、夕闇は見た。その子のズックの中でパサパサ暴れるコウモリの姿を。

母の目を盗み台所からジャムの空瓶をかすめ取ったボクは、階段を上がりながら素早くコウモリを瓶に押し込みフタをした。自室の押入れを開け、奥の闇へソレを隠す。何食わぬ顔で夕食に参加。今、自分の部屋にアレが居ると思う度、味噌汁持つ手が興奮で震える。いてもたってもいられなくなり「ごちそうさま」と合掌、退座しようとする園児に、ダメだと父。ニンジンを全部食べるまでダメだ。

やっと解放され秘密との再会。瓶の中でコウモリはうつ伏せ。「もう寝てる」。嬉しさのあまり瓶を抱きしめ眠るボク。コウモリは確かに寝ている。フタがキツく締められた瓶の中、酸素がなくなり永遠の眠りについている。

▼ 注釈 / 飛行中のコウモリは電波を出しています。その電波が物体に当たってハネ返るので、コウモリはソレらにぶつることなく飛べるのだそうです。何故、投げたクツの中に突っ込んでゆくのかは分かりません。

 

◆写真タイトル / 束の間知らず

 

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日本総コスプレ!/ 中身より見た目

Title : コスプレ仮面

 

 

日本人のコロモ(衣)好きは、今や全世界に於いて完全独走状態。疑う余地など一切なし。これ程までに日本人がコロモに執着するのは何故なのか。知れば日本が見えてくる。知れば日本人が見えてくる。見えてくれば、どうなるの?。知っておいて損はなし、認識新たで攻め方変わる。当ッたり前の話よネー、見えない時の考えと、見えてる時の考えと同じであるワケないでしょーッ。

1⃣ コスプレという、衣装という名のコロモ(コロモ)

日本人のコスプレが世界で人気。既存のアニメキャラからオリジナルまで、その衣装やメイクは千差万別、十人十色。ところが、外国の皆さんと日本人との間には、コスプレに対する考え方の違いが歴然と在る。

例えば女戦士。洋物、和物、どっちでも同じ。日本人は天ぷらコロモ主義。外国人は天ぷら全体主義。

どういうこと?。答えは簡単、即答しまショ。筋肉ゼロの女戦士っている?。現場の最前線で敵と戦う女戦士が鍛え上げられた筋肉質の体型じゃなくって、どうやって敵を圧倒するの?。目から殺人光線、自由自在に敵の脳をコントロールする特殊能力保持者。ああ、それなら分かる。ガテン系じゃないもんネ。

だけど大抵は仰々しい刀だとか近未来レーザー銃だか持ってるよネ。それって筋肉ないと使いこなせないと思うけど?。20センチのナイフ投げるだけでも筋肉が必要。だって凄まじい速度でナイフ飛んでかなきゃダメだもんネ。

コスプレ・ショーに限らず、洋画に出てくる女戦士を見れば一目瞭然。皆さん、身体をジムで鍛え上げてらっしゃる。スレンダーながら肉体美。鋼の腕に鋼の脚。

日本女性はその真逆。女性の命は柔肌ですわ、マッチョになってどうするの?。

つまりは衣装、メイクでのみ変身を許す女戦士が日本。外見がイノチで現実味なし。それで結構ザマス、日本人はリアルなものなど求めちゃいない。演じる女子も、カメラ構える男子もネ。コスプレの変身目的は女子の可愛さ引き立てる手段であって、道理なんてアッチ向いてホイ。そこんところが海外の感覚とは全く違うのよネ。良い悪いの問題じゃなくってお国柄の違いを話してるわけなのよネ。

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釣り人の願望 / 爆釣ラブコール

Title : メジナ

 

 

釣り人が期待するのは大漁旗。すなわち入れ食いの爆釣であります。狙う魚種なら何でも、退屈することなく自分が納竿するまで釣れ続け、アドレナリン全開のまま意気揚々と帰宅したいのです。「こんなに釣っちゃって誰が食べるっていうのよ!」「冷凍して少しずつ食べていけばいいだろー」だの「今からご近所さんに配ってくるよー」などという羽目になろうとも、爆釣状況に遭遇したが最後、自力で釣りを止めることなど最早無理、制御不能な心理状態!。それが釣り、これだから釣り、というものなのです。誰の言葉か忘れてしまいましたが、外国の有名な言葉に次のようなものがありました。“ 一生、幸せでいたければ釣りをしなさい  ” 。

当然のことながら釣り人の関心は、いつ爆釣になるか、ということになります。これを予測することは大変難しいです。海の劇的環境変化の影響を受けてある魚種が大量発生した場合などは、予想もへったくれもなく釣れて釣れて釣れまくる、ということになります。

初心者でも面白いように釣れる、というお祭り騒ぎになります。その経験を通じて釣りの醍醐味、楽しさを覚え、別の魚種を釣ろうとしたら全くさっぱり釣れず首を傾げた、などという話をよく聞きます。何の苦労もなく誰でも簡単に次々と連れてしまうのであれば、釣りはそんなに面白いものではありません。

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優しいコワオモテ

歯のないサメは可愛いです。釣れて陸に上げてもアナゴみたいに大暴れせず、借りてきたネコの様におとなしーくしています。写真を撮るため腹側見せて横たわる姿を正すと、たちまち仰向けにひっくり返り直してしまいます。ネコやイヌの様にお腹を撫でて欲しいとオネダリしているわけではなく、水銀灯の光を嫌って顔をそむけるのだと思われます。

このサメはドチザメといい、海底をゆっくり泳いでいますから明るい光が嫌いなのだなと思いきや、大抵釣れる時は最大干潮あたり。

つまり最も浅い状態で釣れるのです。満潮で水深のある海底は暗くて落ち着くでしょうが大きな魚も活発化。おとなしいドチザメは小さくなっているのかも。

その点、干潮時は大小さまざまな魚も捕食活動ほとんどしていませんから、岸壁辺りは閑古鳥ならぬ閑古魚。マイペースで餌探しが出来るのかもしれません。

生まれて初めて40センチ程のサメ(ドチザメ)を釣り、その背中に触れてビックリ仰天。サメ肌とはコレ!。紙ヤスリの表面を心持ち滑らかにしたような触感!。

サメは魚ではありませんから当然ウロコは在りません。抱き上げると全身マッスルみたいな印象あり。なるほど、背骨がなくても大丈夫なよう、しなやかに動ける強靭な肉体構造してらっしゃる。

魚の体に触っても、“ 肉体 ” だなんて思いませんもんねえ~。顔はコワオモテですが、お行儀のよい優等生。何を主食にしているんでしょう。

雑食性だとは思います。いつも釣れる時はイソメ(ゴカイ)。貪欲なイメージはありません。

 

● ドチザメ 60~73センチ。スパイク天秤20号にカレイ仕掛け2本鍼(ハリ)。

バイク2人乗り蟹

台湾渡り蟹なるものが時々釣れます。初めてその者が上がった時、酷く驚嘆しました。子供の頃から慣れ親しんでいたガザミというカニに体型が似ています。

ガザミはコケ色の暗い緑色でしたが、この者は目にも鮮やかなトルコブルーと紫の混合色。その美しさに声を失いました。

鍼(ハリ)を完全に飲んでいますが外すのが至難の業(ワザ)!。コチラが手を伸ばしますと、大バサミ全開の両腕を限界一杯にまで拡げ

「触ると承知しねぇぞぉーッ!!」とプンプン。ぽこぷこぷこ、ぽこぽこぷぷ、と怒りの泡を吹いております。カニの背後に回り込もうとすると、カニもまたボクに呼応して回転。キミとボクは息もぴったり。さあ、フォークダンスをしようじゃないか。ええ?。などという時間を数分過ごし、ようやく一瞬のスキを狙い背後から甲羅の真ん中抑え込みに成功!。

あとは鍼(ハリ)を外すだけですが、どうせハリ先は摩耗してしまったでしょうから、外さずにハリ根元の糸をプッツリ切ります。

 

検索してみますと、中国料理の高級食材として美味、と書かれていて万歳三唱!。一瞬にして茹で上がり、甲羅も見た目より柔らか、造作もなく割れました。旨味が凝縮された肉には洗練された甘味があり、カニ好きならずとも唸るは必須!。また食べたい、また釣りたい、一杯釣りたい、で早1年。

狙って釣れるカニではなかったのですネ。絶対量も少ないようで、近年一層釣れなくなっているのが現状。これは釣り人各位の意見ではありますが…。

 

●写真はワタリガニのオスとメスのペア。ド派手な体色のオスに比べ、何とまあメスの体色の地味なことか!。クジャクさながらであります。

釣れなくなってワタリガニを諦め2年、夜釣りで突如釣れました!。

しかもオスメスのペアで上がってきたではありませんか!。50000拍手!!。

まるでバイク2人乗り状態、釣り糸が2人の体を絆の如くに複雑絡み。おそらく産卵行為の真っ最中だったのでしょう。罪悪感覚えつつも美味しくご賞味させて頂きました。合唱。

 

●甲長7センチ(オス)、5センチ(メス)。キス天秤に錘(オモリ)20号、2メートル吹き流し仕掛け3本鍼(ハリ)、ハリス2号、餌はアジ切り身短冊。

 

 

ネバドロン現る!

ヒイラギさんはネバドロン。全身粘液まみれ。ウルトラマンがネバドロンとガップリ四つ(ヨツ)に組んだなら、その凄まじき粘液過多でたちまち全身ネバドロン!、呼吸困難で戦意喪失間違いなし!。

息も絶え絶えの宇宙警官にヒイラギのたまう。「私は何もしていない。お前が1人芝居に興じただけだ」と。

最大寸でも15センチほど。葉っぱのヒイラギに体型が似ることからヒイラギ。勿論、トゲかと見間違う背ビレも同じ。DNAの保身進化ってスゴイですよねえ。大きな魚がネバドロンくわえたが最後、口の中がハナタレ洪水。鋭いトゲが口内チクリ。こらえきれずにオエエエエーッ!。

非常に美味しい魚です。アジにもヒケはとりません。市場流通しないのは、小さすぎる、調理経費が莫大、トゲが危険、の3点でしょう。調理経費?。ネバドロンを捌こう(さばこう)とするなら、まず粘液を取り除かなければなりません。

それには食塩。塩で揉み込み粘りをコソぎ落とすのです。が、想像以上の量が要求されますよ。1尾あたりに塩が大サジ5~6杯!。信じられます?。

ヒイラギはベビベビ(ベイビー)でもあります。口を開いて海底の小さなエサをスポイト吸引捕食するのですが、開いた口が哺乳ビンそっくり。

薄皮の収納口が5ミリ前後も伸びるのです。これでホムホム吸引なのですね。

八月のある激烈猛暑日、午前11時過ぎ。鉄の手すりにでもウッカリ触れようものなら

「アジャァーッ!!」

マジで火傷(第1度)間違いなし。流石の釣り師達の姿も皆無。熱中症恐れぬフラチな男2名、赤の他人同士で者間距離およそ8メートル。

おのおの修行僧の様に釣糸垂らしてダルマ大師(座して微動だに動かぬ)。

突如海中に動きあり!。2人ほぼ同時にアタリ(魚がハリ掛かりした合図)続出!。鼻息荒く抜き上げりゃ、ヒヒェェェーッ!!、良型ネバドロン!!。

したたる汗にまみれた指で慌ただしくハリを外せば、たちまち指と手の平ネーバネバ。次々釣れるヒイラギに、うっかりトゲチク、指の各所に血がにじむ。

汗塩パッパ、まさに傷口に塩!。水面見ればナブラ(魚の群れの移動で水面が波立つ状態)が立つサザナミ!。産卵でヒイラギ軍団が浅瀬に入ってきたああああーッ!。

30分の激闘は突如打ち切り。群れは行ってしまった。両指ヒリヒリ、ネバネバ、両腕ダラリで矢吹丈(明日のジョー / 主人公)。ボクは “ 座り釣り ” の兄ちゃんにフラフラ近寄り声かける。

「凄かったですよねぇ~!。何ビキ釣りました?」

彼は笑いながらバケツ指差し「数えきれないよー」。

アレッ?。その横顔、まさか超有名な若手俳優さん?。やっぱりそうだ、そのヒトだ。彼の手を見りゃネーバネバ。やはりネバドロンは芸能人とて容赦なし!。

 

●ヒイラギ14~16センチ。(真ん中にサッパが1)。棒浮き2号にハリス1・5号。メバル鍼(ハリ)、タナは底切り。

 

 

釣り人来たる!

Title : 竿番ネコ

 

 

 

ボクの趣味は海釣りです。船には乗らず近郊の堤防で気軽に楽しみます。船釣りもしてみたいのですが船酔いが…。中学時、三半規管が敏感な人は乗り物酔いしやすいと聞きかじり、何かの拍子で担任教師に「ボクは三寒四温が敏感だからバス酔いするんです」と述べ大恥をかいたことがあります。

それはさておき、何はともあれ魚でしょう。釣り人も、釣るのは好きだけど自分では食べないから人にあげる派、可哀そうだから必ず毎回リリース派、釣って捌いて食べて派、水槽で飼育派、など千差万別。100人の釣り人がいれば、そこには200の釣り方がある、とベテラン釣師のオジイチャンが教えてくれました。

釣れると大人は子供の様にはしゃぎ、釣れると子供も大人の様にはしゃぐ。一体何が人々を惹きつけてやまないんでしょうねえ…。

ところで、ボクのブログに登場した後ろ姿のネコ、彼はボクの釣りマブダチのモッちゃんです。四六時中、全身に海風浴びているモッちゃんの体毛はゴワゴワ。

モッサリしてるのでモッちゃん。釣り座裏の繁みをネグラにする、ワイルドで勇敢、過酷な海風に立ち向かう誠にアッパレな自立ネコであります。

写真はモッちゃんがボクの代わりに竿番しているところ。近づくと気が散るといって怒るので、遠見からコッソリ撮影しました。この写真はヤラセではありません。合成写真でもSFXでもありません。

彼は、この竿に大好物のイワシだの小アジだのサッパだのがくっついて上がってくることを知っているのです。時々シビレを切らして仕掛けが海中に入っている海面を覗き込んだりしています。ボクが声を殺して笑うと、すかさず振り返り

「可笑しいか。可笑しいのか?ええ?」と睨みます。

帰り際は道路まで見送ってくれます。釣りしに行くと入口で待ってくれていて、釣り座まで仲良く一緒に歩いてゆきます。モッちゃんは、15センチの小アジやサッパなら1度に3尾、イワシなら5尾食べます。お腹が空いていない時でも、後々のことを考えて無理矢理詰め込んでいます。

どうして分かるかというと、満腹気味の時は魚の頭を残すからです。

 

◆写真上は、釣ったカタクチイワシ。モッちゃんのお腹に入る前に撮影。