3人のキノコ

Title : このままがいいんだ、ほっといてくれッ

 

 

1人目のキノコは、苦しみに沈む彼女を前に

何一つ言葉をかけることが出来なかった。

言うべき言葉が思い浮かばなかったのだ。

 

2人目のキノコは、胸が張り裂けそうな絶望に浸る彼女に

一緒に居てあげる、と涙声で言った。

 

3人目のキノコは、うちひしがれしゃがみこむ彼女と

一緒に泣いた。

 

結局、彼女を救ったのは、3人とは別の通りすがり。

ソイツは、自らの命を絶とうとする彼女に言った。

 

「分かち合おう。分かるまで話してごらん」

彼女は彼に心を開き、ポツリポツリと話し始めた。

 

3人のキノコは、

自分達が未だに未熟で

1人前の男ではないことを思い知らされた。

 

今、3人を凄まじい涙の暴風雨が襲う。

しかし、それは

案外苦しいものでは、なかった。