絶食ダイエット(10) / 絶食5日で体重減らず / 飲み水だけなのに減量出来ない

Title : 赤味が腹に染みる…

 

 

絶食6日目、朝10時ジャスト。

期待と不安、興奮で毛細血管破裂、鼻血まみれで体重測定せねばならぬ

覚悟で体重計に乗ったボク。

この時ほど神の存在を身近に感じたことは過去に無し。

“ 溺れる者はワラをも掴む ” (日本のコトワザ)。

ボクの様な未熟者には

“ 溺れるタコは漁師をも掴む ” がお似合いだろう。

タコが溺れるはずもない。そのタコが溺れている。あり得ない…。

 

絶食5日間。

口にしたのは、日本茶、ブラックコーヒー、水。それだけ…。

飲み水だけなのに減量出来ない。

それだけなのに体重が1グラムたりとも減らないミステリー…。

悔しさのあまり唇を噛まずにはいられないッしょ~?!。

海面でタコが溺れかけワァーワァーやっていると、

たまたま通りかかった小さな漁船がタコに優しく手を差し伸べる。

漁師といえばタコの天敵。

それを承知で差し伸べられた手に吸盤をシッカと張り付けるタコ…。

物悲しい光景だ。

聖書を読んだこともないボクが唐突に神にすがる。

神は人間の天敵ではないが、果たしてボクにはどうだろう。

1日の糧 ( かて ) に感謝するどころか拒絶。

さしたる重大な理由が有るでもなしに…。

 

神の怒りに触れたのだ。でなければ、

こんな異常現象が起こりうるはずなどないではないか。

今ほどボクは、ハムレットなる人物を身近に感じたことはない。

“ 生きるべきか死ぬべきか。それが問題だ ”

なわけで、神様やハムレット様に強く強くお願いしながら、

両目を固く閉じ測定に挑む。

 

「お願いお願いお願いします!!!!!!。1キロでいいですから減ってて下さい!!!!!!!」

 

70.1キログラム ( 前日と同じく春物パジャマ着用 )

 

ガックリと頭 ( こうべ ) 垂れ、ふらふらとキッチン。

ドッサリとイスに身を投げ出す。

 

アレ?。母親は外出だったか。じゃ全裸測定出来たあ~。

フッ(自虐笑)。体重減らないんだから無駄ジャンそんなの。

きっと全身の肉をヌイグルミよろしく脱ぎ捨て、

骨だけで体重計に乗っても70キロなんだゼ!。

去年、三日連続の寝正月、最高にドカ食いした時

たちまち3キロ太ったじゃないの!。

増えるのはマッハで、何でぜい肉だけはダメなの?。おせ~て ( 教えて )。

空前絶後のバカバカしさ!。

ボクが敬愛する詩人であるところの北原白秋先生、詩の中で、

花より先に実のなるような生き方をしちゃダメだって、

おっしゃられてた。ウウ~ム、そうだそうだ!その通り!

と感激していたボクチンなのに、

今まさに全力投球でデタラメ祭り真っ最中でないの!。

 

アーイヤだイヤだ、もう金輪際

こんな伊達酔狂 ( だてすいきょう ) はお断りだ!。

純粋な青年の、思春期の情熱を、

ひたむきな願いを何故打ち砕くのか!。

絶食は止め!。ただちにヤメ!!。

なのだが明日1日で1週間。すると体の毒素が排出されて健康体になります、

とお坊様がおっしゃられてましたね?。

ならば、続けることが御仏 ( みほとけ ) への礼儀ではありませんか?。

おっしゃる通りでございます。明日、満願成就。

本日は体が絶食状態に慣れてきたせいか、強い憤り(いきどおり)のせいか、

苦労せずとも空腹に耐えられる状態を維持したまま、

夕方へとゴロリン転がるポンポコダヌキ。

だが、空腹ガマン出来たって嬉しくも何ともない。

中が暗くて全然見えない洞窟見つけて、どのくらい長いかな?、

と小石を軽く投げてみたとする。

耳を澄ませども音はなし。今度はチョット強めに飛距離出してみる。

 

シーン。

 

おや?。ひょっとして相当長いのかなと振りかぶって小石遠投ッ!。

 

シーン。

 

どんなに投げてもノレンに腕押し。シャドウボクシング。無い袖は振れない。

つまり、アナタのPCは応答しておりません、だ。ハハッ。

 

母帰宅。

 

「前もって言っとくけど、今晩はローストビーフだからね。アンタ大好物でしょ?。もう絶食止めたら?」

血の気が引くボク。

「超高級料理だねぇ~。何かいいことあったとか?」

「そう。◇◇ ( 弟 ) がバスケで優勝したからお祝いなのよー。

優勝したらローストビーフって約束しちゃってたからー」

唇噛みしめるボク。

 

神は私を試しておられるのだ。それとも悪魔が誘惑しているのか。

全身に突如汗が吹き出し始める。カァッと燃えるように熱い。マジで!。

感情面からきているのではないな、コレは。

 

明らかに身体に異変が起きているようだ。