絶食ダイエット(9) / 絶食4日で体重減らず / 身体の感覚がおかしい

Title : ダイエットの大敵、その香り!

 

 

 

絶食5日目、am9:00。

気絶就寝 ( 寝床に入りバタンキュー睡眠、の人は失神に近い状態である、と言われている )

から意識を取り戻したボクは、早送りの “ 起き上がり小法師 ” ( 福島県の郷土オモチャ )よろしく起床ーッ!。

3日間に渡る絶食にも関わらず、何故体重が1グラムたりとも減っていなかったのか?!。

ググッてみればと言うかもしれない。しかしそれでは面白くない。

手に汗握る一進一退の攻防は、最初から最後までボク1人だけの戦いなのだ。

それこそが、アンポンタンなボクが手にすることが出来るかもしれない、

絶食貫徹の名誉に添えられる唯一の花なのだから!。

などとブツブツ言いながらカレンダーに

待てよ!。4日クリアってことはだよ、

期間折り返し地点を過ぎたってことでないの?!。

やったーッ!!。両手バンザイ、ガッツポーズ。

んッ?、寒いッ。両手限界まで上げたから、

シャツとパジャマが浮いちゃってお腹半出しでないの!。

このパジャマ洗い過ぎて縮んじゃってんのよねぇ。

でもお気に入りだから絶対新しいの買わないッ。

そんなことより体重計。ただちに計測。また70㎏なんてったら許さない!。

と、自室の机の下にキープしておいた裏切者のソイツを抱え

測定場所である台所へ。昨日と違い母が目の前。

 

「何ですかアナタは。後生大事に体重計抱えてぇ~」

「ワタシのことは放っておいて下さい」

「放ってあるわよー、常にー」

 

母は昆布飴をくっちゃらくっちゃら。ゴクン!、と巨大な音で喉が鳴り、

その音に仰天するボク。しかし母は気にも留めず新聞を読んでいる。

どうやらボクにだけ聞こえたようだ。

何だかなー。物を一切食べなくなったら体の感覚が非常におかしい。

間違いなく異常な世界に入り込んでいる気がする。

でも残りあと3日じゃないの。

気を取り直して体重計をセット。

ゴルファーがスイング前に微妙なスタンディングチェックやるじゃない?。

あんな感じでマジ顔セット。母の前、まさか全裸になるわけにもいかず、

仕方なしにパジャマ姿のまま乗っかる。

 

「何キロ減った?」

と新聞に目を落としたままPTA。

「静かにッ!」

 

左右小刻みに震えている針が止まった。ゆっくり視線を落とす。

 

70・1キログラム。

 

灼熱のマグマの様に、凄まじい怒りがボクの足元から急激に噴出!!。

それに乗ったなら、

ボクは一直線に月まで瞬時に到達したであろう

程の激憤!!。その瞬間、ボクの頭をよぎる声。

 

奥さん、ジャガイモの芽、どうやって取ってらっしゃるのぉ~?。

 

昨日散歩中に八百屋の前で聞いた会話だ。何で今そんなのが出てくるのか!!。

おかしい。何もかもがおかしい。何かが狂っている。

 

「ちょっと体重計に乗ってみて」とイラ立ち、母に告げるボク。

 

「ヤァーよ!」

「え?。何で。それくらいいいジャン」

「ヤァーだァ」

 

非協力的な家族。非協力的な体重計。ボクは四面楚歌なのか。